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日本アニメーション『ふしぎの国のアリス』日本放映全話ガイド


話数サブタイトルあらすじ原作エピソード
1アリスとベニー 骨董屋でシルクハットを買ったアリス。その中には人の言葉を話す兎のベニーがいた。ガーデンパーティの途中、アリスは人間大の白兎(ベニーの叔父さん)を追いかけてベニーとともに兎穴へ。落ちた先は不思議の国。ハートのクィーンの城の前で、アリスを歓迎する不思議の国の住人の行進。ジャバウォーキーが現れて、皆逃げる。アリスはジャバウォーキーの背中を滑り降り、気づけば元の世界。階段の手すりを滑り降りていた。不1「兎穴を落ちて」
2ラビットホール 花壇のペチュニアを食べて台無しにしたベニー。アリスと一緒に白兎を追いかけて再び兎穴から不思議の国へ。鍵の掛かったドアばかりの大広間に出る。ガラスのテーブルの上にあった鍵で一番小さいドアが、開いた。「私を飲んで」と話すお茶を飲んだアリスは小さくなる。またテーブルの上に戻っていた鍵をなんとか手に入れ、ドアから抜けると言葉を話す花の花園。ハートのクィーンの兵士の行軍で花園が踏み荒らされる。帰ってきたアリスたちは花壇の花を元に戻そうとする。 不1「兎穴を落ちて」
鏡2「生きている花の庭」
3涙の海のアリス 池を飛び石伝いに飛んでいたアリスは、前から来た白兎のせいで池に落ちてしまう。怒ったアリスはベニーと一緒に白兎を追って兎穴へ。前に来たホールで「私を食べて」と話すケーキを食べたアリスは巨大化。悲しくなって泣くと床が池に。ベニーも涙に流されてしまう。再会した白兎の持っていた扇子を手にしたアリスは再び小さくなり涙の池に落ちてしまう。池では鼠や他の動物を知り合い、「小さなクロコダイル、輝く尻尾を磨きます。ナイルの水を注ぎ、ロータスの葉で朝な夕なに金色の小さな鱗を磨きます。小さなクロコダイル、輝く尻尾を磨きます。ナイルの水を注ぎ、ロータスの葉で朝な夕なに金色の小さな鱗を磨きます。彼がにんまり笑うときれいな歯がきらめき、やさしくほほえむその歯で、魚を呼び寄せる。彼がにんまり笑うときれいな歯がきらめき、やさしくほほえむその歯で、魚を呼び寄せる」と歌っているベニーとも再会。一同が上陸した島はすべてが縞模様に塗られていた。アリス達も縞模様に塗られたが、犯人は、クィーンから逃げてきた猫だった。猫は縞模様に塗られて虎として動物園に入れられるところだったのだ。自分が隠れていても判らないように島中を縞模様に塗ったという猫。しかし、縞模様の島は目立つためハートのクィーンがやって来る。船から放水され、逃げているうちにアリスは元の世界に帰る。雨の中に立っていた。 不2「涙の池」
4コーカス・レース ガーデンパーティ。話の長いゲストに一同辟易しているところへ雷が。怖がっているベニーをアリスが抱き上げると、気付けば不思議の国へ。前回の島のメンバーがティーカップに乗って海を渡っている。仲間割れしそうなところへアリスが「同じ羽根色の鳥は一つ所に集まる」という。カップが転覆。一同は近くの浜辺へ上がる。濡れた身体(鼠曰く「濡れ鼠」)を乾かそうと鼠の無味乾燥な話。そこへドードーが通りかかりコーカス・レースを提案。いよいよやろうとする所へハートのクィーンが船でやって来る。これは何だと問うクィーンにコーカス・レースだと答えるドードー。なぜ自分に知らせなかったかというクィーンにドードーは「誕生日を驚かせようと」と言うがクィーンは、今日は誕生日ではないという。アリスが「非誕生日のお祝い」と助け船を出す。かくてハートのクィーンの非誕生日コーカス・レースが開始されようとする。と、そこへチェスの王と女王が登場。ティードルダムとティードルディーもやってくる。レースが開始されたが、全員勝者で敗者のいないレースにハートのクィーンが呆れて、クローケーの準備をしに帰って行く。チェスの王と女王もついて行く。服が乾いたと喜んだアリスは、気付くと元の世界に戻っていた。 不3「コーカス・レースと長い話」
5でっかいアリス 人形の家にベニーやダイナを入れるアリス。ベニーからは窮屈だと言われる。お客さんが帰るというので挨拶に連れて行かれたアリスは、お客さんのホワイト教授から「メリー・アン」と、名前を間違えられる。大きくなったね、と言った教授は手袋と扇子を忘れて行きそうになる。そして、アリスに探して来てくれるよう頼む。探しに行ったアリスは気付くと不思議の国に。同じくお手伝いの「メリー・アン」と間違えた白兎に手袋を取ってくるよう命じられる。家の中で手袋と扇子をアリスは見つけるが、一緒にあったお茶を飲むとアリスは大きくなる。白兎はじめ不思議の国の動物たちは、どうやってアリスを小さくして家から出られるようにするか相談する。そして、リトル・ビルにやらせようとする。ビルを煙突から入れるため、一同は梯子を探すと、ハートのクィーンが塀に登った後の梯子があったので持って行く。暖炉から様子をうかがっていたアリスは、ビルが下りてくるために出た煤でくしゃみ。その勢いでビルが煙突から飛び出す。再び煙突へ落ちて来たビルに、アリスはお茶を飲んだら大きくなったと話す。そこへハートのクィーンが現れる。クィーンはお茶とお菓子があってお茶を飲んで大きくなったのだから、お菓子を食べれば良いという。お菓子を踏みつぶしたと言うとクィーンは家来に命じお菓子を作らせる。出来たお菓子を一同はアリスに投げる。お菓子が石のように硬いとベニーが言うと、一同は「石を投げてくれ」と誤解し、石を投げ込む。石はお菓子に変わり、アリスは食べる。そこへ「女王陛下へ挨拶せよ」と、家来の命令。アリスは屋根を持ち上げて立ち上がる。クィーンは恐れて逃げ出す。一緒に逃げる白兎を捕まえたアリスは小さくなり、扇子と手袋を白兎に渡したところで、元の世界に帰る。アリスは教授に手袋と扇子を渡そうとしているところだった。 不4「兎が小さなビルを送り込む」
6ハンプティ ダンプティ 庭で朝食。ゲストのレベランド牧師は進化論の話をするのが得意で、頭が卵形。気付けば牧師がハンプティ ダンプティになって、アリスは不思議の国へ。卵に似ていると言って怒らせたアリス、ハンプティのネクタイを褒める、が「それともベルトかしら」と言ってしまう。去ろうとするアリスに「ところで、お前はいくつだと言ったっけな?」「七歳と六ヶ月です」「違う。お前はそんなことを一言も言わなかったじゃないか」「私、お前はいくつかと言ったのだと思ったのよ」「そういう気ならそう言った筈だ」そして、「七歳でやめとけ」となる。(その後の下りはない)そして、「あなたは自分がとっても気が利いていると思ってらっしゃるのね」とアリス、それなら「ジャバウォーキーの詩の意味も説明できるわね」とアリスに言われる。
あぶりの時にトーヴしならか
はるかの中にぐるぐる回り
すべて衰弱……
意味を解説しているうちにハンプティは木の枝に引っ掛かってしまう。(意味の解説中に「しならか:しなやかでぬらぬらすること」とある)。アリスが助けようとすると「お前じゃダメだ」。なら、とアリスが王様の馬と家来と訊くと「わしの話を立ち聞きしておったな」「もちろん違いますわ。本で読んだことがあるんです」そうこうしている間に枝に引っ掛かったネクタイが切れそうになり、ハンプティはアリスに、王様の家来を呼んでくるように言う。その間、ハンプティは不思議の国の面々に笑われている。「ハンプティが卵の黄身みたいになったぞ。こりゃたまげた、いい気味だ」「そんなにハードボイルドぽることないよ」一同はハンプティが落ちるか落ちないかで賭を始める。アリスはハートのクィーンの城でハートの王様にハンプティの救助を願う。かくて救助に。だが、王が着く前にハンプティは落ち、野原を跳ねて飛んでいる。最後は王様の馬の上に落ち、ハンプティは無事救助される。かくてハンプティは再び塀の上に。気付けばアリスは再び朝食に戻っていた。家に入る際にアリスは「牧師様、壁から落ちないように気をつけて下さい」
鏡6「ハンプティ・ダンプティ」
7大きな仔犬 アリスは仔犬を拾い、パピーと名付ける。連れ帰ると家ではガーデン・ソサイエティの総会とアリスのお父さんがペチュニアで入賞したこの報告があった。パピーはペチュニアの花壇に骨を埋め、兎穴に入る。アリスとベニーも追いかける。不思議の国の広間のお茶をなめたパピーは大きくなる。広間のドアと壁を破って不思議の国へ出て行くパピー。生きた花の花園ではパピーに花が踏み荒らされていた。ちょうどその頃、チェスの城ではチェスの王と女王のガーデンパーティが始まろうとしていた。帽子屋、ヤマネ、三月兎の演奏があまりに酷く、チェスの女王は、彼らを雇ったパーティ委員会の委員を牢に入れ、鍵を捨ててしまうよう命じる。アリスは仔犬を追っていると、目の前に丘と池が。犬が掘り返したあとに雨が降って池になっていたのだ。そして森の木がなぎ倒され、道になっている。一方、ガーデンパーティ。城では何でもまっすぐ行った所にあると蟹がぼやいている。チェスの女王はハートのクィーンの道化(ジョーカー)に「ただのカードじゃない」と言う。パーティのさなか、巨大な仔犬が城にやってくる。アリスとベニーが追いかけて城に着くと城ではパニック。アリスはようやく仔犬をおとなしくさせてチェスの女王に謝るが、退屈なパーティが面白くなったと参加者は喜んでいる。気付くと元の世界。飼い主がパピーを呼んでいる。パピーの飼い主が見つかってうれしいというアリス。「憶えて置いてね、犬を管理する責任は大きいわよ。特に大きな仔犬はね」と言い、家に帰って行くアリスだった。不4「兎が小さなビルを送り込む」
8名なしの森 アリスは学校で野生動物について授業を受けている。同級生のメーベルは質問に答えられず、ゲルドルードは優等生。授業はカバからアフリカの野生動物、そしてヨーロッパの大型野生動物の話になり、鹿が例に出てくる。放課後、物覚えの悪いメーベルにアリスは「物に名前なんかついていなければいいのに」と言う。そうしたら何も憶える必要がなくなる、と。メーベルにアリスは「憶えたい言葉を繰り返し口にしていれば忘れない」とアドバイスして別れる。帰途、気付けばアリスは不思議の国(アリスは「ワンダーランド」と呼んでいる)に。地面には煙のようなものが這っている。やってきたベニーに訊くと、そこは「名なしの森」。流れてくる煙を吸ったアリスは、近くの木の名前が判らなくなる。アリスは自分の名前も思い出せなくなる。そこへ仔鹿がやってくる。鹿は、ここで物の名前を思い出すのは無理なので、思い出せるところまで連れて行ってくれるという。森を抜けると仔鹿もアリスも自分のことを思い出すが、一緒にいたのが人間なので、仔鹿は逃げ出す。がっかりするも、自分の名前が思い出せたので少しは気が楽になったアリス。アリスたちは「涙を流す柳の木」のところへ行く。近くの川を帽子屋が帽子に乗って、三月兎について怒りながら流れている。アリスが川岸へ帽子屋を引き寄せると帽子屋は三月兎のことをぼやきながら、再び帽子で川を下って行った。と、柳の上で笛を吹く少年が。その曲を聴くと、柳の木ではなくアリスが涙を流す。少年は、この柳の木の番人だった。少年に三月兎のことを訊くと少年も三月兎について怒っている。三月兎に会いに行こうとするアリス。少年は川下りのためのバスケットを貸してくれた。ただ、あとで戻して欲しい、その時に、三月兎について判ったことを知らせて欲しいと言って。川を下ると目の前にはさっきの煙が流れている。煙の中では川が逆流。途中の岸に着いたアリス達はバスケットから降りて名なしの森へ。そこには羽根を着けて飛ぼうとしている狐がいた。池では蛙が鷺を追い、猫が自分を鯉と思い込み池に入ろうとしている。魚は池の中で溺れかけている。ベニーは自分を河馬と思い込み(顔も河馬みたいになる)、池に入ろうとする。どうも原因は煙にありそうだ。煙のもとを辿って行くと、そこには三月兎がいた。煙は三月兎が何か煮立てている鍋から出ていたのだ。一方、その煙を望遠鏡でハートのクィーンが見つける。ジョーカーから森の異変を聞いたのだ。その中ではなんでもあべこべになっているという。クィーンは白兎に原因を調べさせる。白兎が言うには、王室の図書館から魔法の本が紛失しているとのこと。ハートのクィーンは、犯人を捕らえようと軍を出す。三月兎は自分が原因とは認めない。アリスがそれほど言うのなら、と、一緒に見に行く。状況を把握した三月兎、そこへハートのクィーンの軍が。三月兎が逃げ出す。鍋を始末せよと兵士に命じるが、兵士は鍋をひっくり返してしまう。クィーンの命令で兵士たちは三月兎を捕らえようと森に行く。森の中で、何をしようとしたか忘れ、戻って来てしまう。アリスは兵士に物を忘れないアドバイスをし、兵たちは「我々の目的は、三月兎から本を手に入れること」を繰り返しながら森に入っていった。三月兎は森の中で自分が誰か、どこへ行こうか忘れてしまい、石に腰掛けている。そこへ兵たちとアリスが追いつき、三月兎から魔法の本を取り返した。森から帰ったものの、目的を口に繰り返しながら一同はハートのクィーンの前を通り過ぎてしまう。気付くとアリスは家に帰っていた。料理人のスパイスハム夫人が呼びかけるもアリスは彼女に本を渡し、「我々の目的は、三月兎から本を手に入れること」といいながら家に入ってしまった。 鏡3「鏡の国の昆虫たち」
9カラスの海賊 庭の食卓にあったスプーンをカラスが加えて飛び去ってしまう。アリスはそれを取り戻そうと追いかける。気付けばアリスはワンダーランドの森の中へ。だが、アリスは自分が何をしていたのか、飛んでいる厄介者が何という名前だったか思い出せない。それどころか、アリスは自分の名前も思い出せない。アリス達は名なしの森に入ってしまっていたのだ。そこへカラスの海賊団が現れる。カラスはアリスとベニーを船に乗せる。船は出帆。ワンダーランドで栄えている三つの拠点、白兎の家、チェスの白の女王の城、ハートのクィーンから光り物を盗んで名なしの森を通り物忘れ湾へと帰還しようというのだ。アリスは船倉に監禁される。最初に襲われたのは白兎の家。時計を残らず盗まれ、怒った白兎はカラスたちを追いかけるが、名なしの森に入ったとたん、何をしていたか忘れて帰る。次に襲われたのはチェスの城。チェスの王と女王も、名なしの森に入ったとたんに自分たちが何を追いかけているか忘れてしまう。三番目にカラスが狙うはハートのクィーンの城。カラスたちが出撃している間に、監禁されているアリスは船倉にあった望遠鏡を逆さに覗いた。足が遠くにあるように見えた途端に、身体が大きくなる。船倉を突き破り大きくなったアリス。海賊たちが飲んでいた飲み物を飲むと、名前を思い出す。飲み物はわすれな草のジュースだった。アリスとベニーは海賊船を物忘れ湾から外へ出そうとする(船の中にいるアリスが帆を吹くと船は動き出す……物理的におかしいが)。そこへ戦利品を口にカラスたちが帰ってくる。船が物忘れ湾から出ていたので、戻ろうとしていたカラスも名なしの森にはいなかった。ハートのクィーンは記憶をなくさず、カラスを捕まえ、王冠を取り返す。怖れをなした部下はクィーンに錫杖他、盗まれたものを返す。カラスは船の指揮権を返せとアリスに迫るが、盗んだ物を全部元の持ち主の所へ戻すとアリスは言う。カラスは帆を落としてしまう。だがアリスは船の底を踏み抜き、そのまま船ごと歩いて上陸する。気付くとアリスは元の世界へ帰っていた。箱を船のようにして歩いていたのだが、その中にスプーンがあった。お客様のミセス・スプーンをフォークさんと言ってしまったお父さんに、アリスは「いつも名なしの森にいるみたいね」と言う。 鏡3「鏡の国の昆虫たち」
10キャタピラの忠告 アリス一家と教授(パイプを吸っている)は表にいたが、冷えてきたので家の暖炉で暖まることになった。アリスは薪を取りに行く。薪を取ってきたアリスは、枝にいた蜘蛛に驚いて薪を放り出してしまう。「蜘蛛は害にならない」と教授。お父さんが暖炉に火をくべようとするが煙ばかりが出る。ベニーを心配して捜すアリスは、小さくなり、ワンダーランドにいた。目の前には芋虫(タイトルと違い、ドラマの中ではずっと「芋虫」と呼ばれる)がいた。「君が誰? 悩みは何?」と聞く芋虫に答えるアリス。名前はアリス。だがいつもの自分とは違う。いつもはもっとずっと大きい。キャタピラは、虫と同じ大きさになると困ることでもあるのかとアリスに訊く。アリスの悩みは混乱していることだと言い、芋虫は消えてしまう。消える芋虫にアリスはベニーがどこにいるかと訊くがもう芋虫はいない。アリスはベニーを捜しに、草むらの中を歩く。木の根元で休んでいると木の葉が落ちてくる。危ないところをアリスは虫に助けられる。虫は木の葉の下敷きに。虫の名前はドナルド、糞転がしだ。池で手を洗っているアリスは、今度は蜘蛛の親子に出会う。アリスは逃げる。丘があったので登るとそこは蟻塚。蟻と鉢合わせしたアリスはまた逃げる。目の前にはさっきの蜘蛛の親子、後ろからは蟻の一群。アリスはまた逃げる。蜂や蠅、糞転がしも追ってくる。蜂が言う、アリスに怪我をして欲しくないから立ち止まって欲しいと。開けた所へ出たアリスは立ち止まる。追ってきた虫からまたアリスは逃げ、目の前の家に入ろうとする。後ろでは虫たちが「その家に入ってはいけないよ、小さな人間さん」と叫んでいる。家の中には公爵夫人、赤ん坊、料理人、猫がいた。部屋中胡椒で皆くしゃみをしている。アリスのくしゃみに気付いた猫はアリスへと近づく。アリスを猫が捕まえる。公爵夫人は「何を捕まえたの、キティ」と猫に訊く。アリスを見た公爵夫人は「虫は嫌いじゃ!」と、アリスを踏みつぶそうとする。逃げるところを料理人が鍋を投げつける。公爵夫人は皿を投げる。料理人が投げた鍋が公爵夫人に当たったので、公爵夫人も皿を料理人に投げ返す。アリスはなんとか家から脱出した。草むらの中を逃げているうちにアリスは力尽きて倒れてしまう。そこへ集まる虫たち。彼らはベニーをアリスの所へ連れて来てくれたのだ。アリスは虫たちにお礼を言い、今までのことを反省する。元の大きさに戻るには、芋虫が手を貸してくれるとベニーは言う。草むらの向こうに煙が見える。芋虫の水煙管の煙だ。と、空から烏が。皆散り散りに逃げる。ベニーが芋虫の所へ行くと、芋虫は虫や動物の悩み相談の最中だった。アリスは芋虫に「ノーマルな大きさに戻りたい」と言うと、芋虫は「ノーマルとは?」と反問する。ベニーが、烏が虫を襲っていること、アリスが元の大きさに戻れば烏を追い払えることを言うと、芋虫は「なぜそれを言わなかったんだ」と言い、茸の端を千切って一口噛むように言う。囓ったアリスは大きくなるとともにぶくぶくと太ってしまう。もう一つの側を食べるように芋虫は言い、アリスは言う通りにする。すると、今度は身体が太ったり痩せたりするようになる。茸を半分食べるとアリスは頭以外が小さくなり、残りの茸を全部食べたらやっともとの大きさに戻った。アリスは烏を追い払う。蜘蛛の親子を襲おうとしている烏を追ううち、気付けばアリスは家にいた。お父さんは薪にいた蜘蛛を庭に放す。 不5「芋虫の忠告」
11のっぽのアリス アリスと姉のセリアが口論中。セリアが言うには、アリスが自分の生物の教科書を盗んだ、と。人を証拠もなしに咎めるのは良くないとお母さんに諭され、アリスとセリアは食堂へ。辛味卵をアリスは食べる。と、アリスはワンダーランドへ。アリスは急に背が伸びて細長くなる。歩いているうちにアリスは木に引っ掛かり、そこにいた鳩に蛇と間違えられる。話しているうち、鳩は巣に自分の卵がないことに気付く。自分が卵を盗ったと思われたアリスはベニーと一緒に鳩の卵を探すのを手伝うことにする。ハンプティ・ダンプティが現れ、アリスを蛇と間違えて大騒ぎしているところへ球が転がってくる。自分の卵だと思った鳩が駆け寄ると、それはハートのクィーンのクローケーのボールだった。アリスはハートのクィーンやチェスの女王たちに、鳩の卵が盗まれたことを話す。芋虫は犯人をジャバウォッッキーだと言う。アリスはジャバウォーキーから卵を取り返すことにする。ジャバウォーキーの城に着いたアリスは、そこにあったケーキを食べる。と、アリスはもとの大きさに。アリスと鳩、ベニーが城の中を行くと、ジャバウォーキーが料理の最中だった。ジャバウォーキーは鳩の卵を料理しようとしているのであった。ジャバウォーキーはハンプティ・ダンプティを卵料理にしたいが、それまでの練習として鳩の卵を盗ったのだった。「卵を返せ」という一同に怒ったジャバウォーキーは、卵を投げつける。あわやという時、卵から雛が孵り、ベニーが受け止める。ジャバウォーキーは、もう一つの卵を諦めたわけではないと不適に笑う。と、もとの世界。お母さんに辛味卵をもう一つ勧められたアリスは、卵はもう充分と、食堂から出て行く。 不5「芋虫の忠告」
12びっくりベイビー 今日の、アリスの家のお客さんは赤ちゃんづれ。台所で手伝いをしていたアリスは、赤ちゃんの所へ連れて行かれるが、手には手伝っていた時の胡椒瓶を持ったまま。赤ちゃんを見たアリスは「豚みたい」と言う。手に持った胡椒瓶をうっかりアリスは振ってしまい、一同くしゃみが止まらない。オードブルは胡椒まみれ、アリスもくしゃみを、途端にアリスはワンダーランドへ。ベニーもアリスの側へ来た。近くには屋敷が。アリスが小さくなった時に入って、命からがら逃げ出した公爵夫人の家だ。アリス達は家へ向かうが、家からは絶えずお皿が飛んでくる。家に向かっていると、同じく公爵夫人の家に魚が大きな手紙をもって現れた。公爵夫人の家に手紙を届けに来たのだ。中から出てきたのは蛙。魚は蛙に、ハートの女王から公爵夫人へクローケーの招待状である旨を伝える。魚は中に入り、蛙は外に出る。アリスも公爵夫人の家の中へ入る。公爵夫人が、自分の持っているスープに胡椒が足りないというと、料理人が胡椒瓶を投げつける公爵夫人がくしゃみした拍子に連れていた赤ん坊とスープ皿はアリスのところへ。赤ん坊は、胡椒でくしゃみすると、飛んでいって、また公爵夫人の手の中へ。アリスがスープに胡椒が入りすぎているというと公爵夫人は、「誰もが自分のことだけを考えていれば、世の中はもっと早く回る」という。アリスはそれだといいことがない、第一地球は地軸の回りを24時間かけて回っていると答えた。公爵夫人は「地軸……ちぎる……ちぎれ……誰か、この子の首をちょん切れ!」と言う。魚からクローケーの招待のことを聞いた公爵夫人はアリスに赤ん坊を預け、面倒を見るようにいう。赤ん坊がやんちゃなのにアリスは怒るが、近くにいる猫が笑う。猫が笑うのを見るのは初めてだというアリスに、それはチェシャ猫だとベニーは教える。赤ん坊に投げられた猫は歩き去るが、途中で笑い顔だけを残して消える。気付くと赤ん坊がいない。アリスが探していると、乳母車を押して赤ん坊が走ってきた。追い回されたアリスは、乳母車の中に落ち込んでしまう。本棚にぶつかって乳母車は止まるが、怒ったアリスは赤ん坊を捕まえる。アリスの腕の中で泣いていた赤ん坊は、豚に変身してしまう。赤ん坊の世話は頼まれたけど豚の世話は頼まれていないからとアリスたちは家を出ようとするが、豚はアリスを追いかける。結局アリスは豚を連れて家を出ることに。この子の母親を捜そうというのだ。芋虫がいたので聞いてみると芋虫は答えずに去って行く。芋虫は豚が嫌いなのだ。森に入ると木の上にチェシャ猫が。豚の子の親を捜しているとアリスは言うが「豚の子って言ったのかい? それともブスの子って言ったのかい?」と言われる。出たり消えたりするチェシャ猫にめまいがしそうだと言うと、今度はチェシャ猫は笑い顔だけを残して消える。「ニヤリと笑わない猫なら何度も見たことがあるけど、猫なのにニヤリだなんて、こんな奇妙なこと初めてだわ」とアリス。再び現れたチェシャ猫は、赤ん坊の母親を捜すなら郵便局へ行くと良いと言う。雑貨屋で道を訊くと、ここが郵便局だという。しかし切手の貼っていない豚は預かれない、落とし物預かり所へ持って行けば良いと言われる。表で落とし物預かり所の場所を訊くと、この雑貨屋がそうだと言われる。再び中に入ったアリスは怒って「なんで郵便局兼雑貨屋兼落とし物預かり所だと言ってくださっても良かったんじゃありませんか」と主人に言うと「君が訊かなかっただけだ」との返事。今日は店じまいだとアリス達は追い出される。地面の臭いを嗅いだ仔豚が走り出す。追いかけるアリスとベニー。着いた先は農家。豚が子供達に乳をやっていた。親子。兄弟の再会。アリスは母親豚にキスされた、と、再びアリスは家の中にいた。アリスはベニーと外へ出て行くのだった。 第6章「豚と胡椒」
13泣きむしまがい亀 授業中、ベニーの絵を描いていて先生の話を訊いていなかったアリスは先生の質問にトンチンカンな答えをして教室の皆から笑われる。絵に目を落とすと絵の中のベニーがアリスに話しかけ、気付くとワンダーランドに。そこではハートのクィーンが、無知を晒したものは学校へやることにすると宣言していた。アリスは自分が無知ではないので学校に行く必要がないとクィーンに言う、すると「あなたがそんなにお利口ならば、3+3+3+3+2+2は?」と訊かれ、13と答えると、「ポーカーでフルハウス」だとクィーン。ポーカーのことは何も知らないというアリスに、クィーンは「あなたはもっと学ばなければなりません」と言い、アリスは学校へ行くことに。学校の教室は地下牢の隣。アリスとベニーは教室へ。(生徒として駆り出された鼠は「私は42歳、子供を5世代も育てたんだぞ」とクィーンに抗議する)先生はまがい亀が急遽任命される。まがい亀は身の上話をする。小さい頃、海の中の学校に行った。先生は年寄りの亀でスッポンといった。海亀だがスッポンと呼ばれたのは、生徒に一度食らいついたら離れないから。まがい亀は水陸両生で、水が近くにないといけない。クィーンは兵に命じ、たらいに水を張って持ってこさせた。たらいに入っているまがい亀。授業を始めるが鼠の子供達がいたずらをする。そのとばっちりを受けビルは廊下に立たされる。再びたらいに入るまがい亀だが、そこへ鼠たちが藁を持ってきて火を点ける。まがい亀のスープを作ろうというのだ。匂いに気付いたクィーンが入ってくる。女王は「スープにするためにお前を読んだのではない。そんな暇があったら早く出なさい」と怒る。たらいからまがい亀が出る。しかし教室では鼠の子供がいたずらして授業にならない。まがい亀は教室を出て行こうとするが、クィーンに捕まる。まがい亀は甲羅を脱いで逃げる。アリス達はまがい亀を探して謝りに行くことにする。外では雨が降り雷が鳴る。皆は走って避難場所を探す。鳥が洞窟を教えてく、アリスたちはそこへ入るが、鳥はジャバウォーキーが操っている人形だった。洞窟の中では泣き声が。ベニーが様子を探りに行く。鳴き声はまがい亀だった。アリス達の謝罪を受け、甲羅を来たまがい亀と一同は城に戻ろうとする。外では鳥の人形を遣ってジャバウォーキーが一同を呼び寄せる。ベニーは、教室でまがい亀が教えてくれたことが何だったかとアリスに訊き、アリスは「鳥の歌を聞くまでは、その鳥を信用するな」と答える。アリスは鳥の所へ行き「あなたの後について行く前に、あなたの歌を聴かなければいけないわ」と言う。歌い出した声は鳥の声ではない。「これは鳥なんかじゃないわ。みんな逃げて」というアリスの言葉で皆逃げる。ジャバウォーキーが姿を現した。その顔が先生の顔になって、アリスはもとの世界の学校にいた。アリスは先生に、廊下に立っているように言われる。アリスは「ジャバウォーキーに食べられるより、廊下に立っているほうがいいわ」と言うのだった。 不9「まがい亀の話」
14ディーとダムの大決闘 アリスとベニーがクローケーで遊んでいると、隣家の双子がガラガラの取り合いで喧嘩している。双子はいつも喧嘩しているので、どうしてなのか知りたいとアリスが言うと、「そいつは明らかだ」との声。アリスとベニーはワンダーランドにいて、声の主は芋虫だった。「ティードルディーたちが喧嘩している理由は明らかだ。いろんなことがあるからだよ、もちろん」「ティードルってだれのこと?」「ディーとダムいがいの誰でもない」「でもディーとダム、ティードルって、誰?」芋虫は「道しるべの通りに行ってご覧」と言い、消える。道しるべには行き先が二つ。どちらも双子の顔が描かれているが、左右逆を示している。アリスは一方の道を進む。次の三つ辻でも道しるべは二人逆の方向を示している。「ディーとダム、同時に会うことは出来ないわ」アリスは、ベニーと二手に分かれて二人を捜すことにする。しかし、二人が走って道を行くと、二つの道は同じ所へ。顔の描かれた道しるべは下を向く。少し歩くと、今度の道しるべは木の上を指している。と、そこでいびきの音が聞こえてくる。アリスは怖がるベニーを抱いていびきの方へ。いびきの主は王様で、従者が側で何か書き付けている。従者によれば、それは王が夢に見る予定のノート。退屈ではないかと訊くアリスに従者は「他のすべてのことと同じくらい退屈だ。なぜなら他のすべても夢だから」という。アリスは従者にティードルディーとティードルダムに会いたいのだと云うと、従者は道しるべを指す。「あれを回して止まった方向へ行く。それが正しい道」だ、と。アリスは道しるべを回すと、道しるべが飛んで地面に落ちる。その音で王様が目を覚まそうとする。と、従者が消えそうになる「王は夢を見るのをやめてしまった」と言い、子守歌を求める。と、森の中から豚がバイオリンを弾いて現れる。従者は消えてしまう。アリスの拍手を受けて豚は去って行く。アリスが森を出ると、そこには双子がいた。じっと動かない双子に、アリスは生きているのか、蝋人形なのかと迷ってしまう。双子は、蝋人形だと思うなら、お金を置いて行くべきだ、反対に生きていると思うなら話しかけるべきだと言う。ワンダーランドの住民が彼らの回りに集まってくる。と、ベニーが壊れたガラガラを持ってきた。これを見てディーは傘に隠れ、ダムは怒り出す。ガラガラは昨日買ったもので、それをディーが壊したというのだ。二人は決闘することにする。鎧になるものを着て決闘することにしたが、そういう物はない。公爵夫人の家の鍋やなんかを借りてはどうかと見物は言うが、誰も行きたがらない。結局、ビルが行かされる羽目になった。窓から料理人にあかんべえをするビル。料理人は怒って鍋やなんやを投げつける。かくてそれらを使って二人は鎧にする。アリスは着付けを手伝う。いよいよ決闘という段になって、二人は身体の具合が悪いと言い出す。「それなら、今日は戦わない方がいいんじゃない」とアリス。しかし見物の住民は収まらない。結局、二人は6時まで戦って、それから夕食にすることにした。しかし、二人は決闘を始めない。剣も一つしかないから、もう水に流そうと言う。見物から傘を渡され、決闘を始める羽目になった。と、そこへハートのクィーンが兵を連れて現れる。見物衆は逃げてしまった。ハートのクィーンも二人の決闘を見に来たのだ。この二人が決闘するのを何年間も待っていたのだと。ティードルダムとティードルディーは逃げようしていたが、ハートの兵たちに連れ戻される。ハートの兵たちに囲まれる中、決闘が始まろうとする。と、空が曇って雷が鳴り、雨が降る。兵はカードなので水に弱い。ハートのクィーンは雨宿りすることにする。二人にはそこで待っているように言い置いて。収まらないのは双子。こんなことになったのも相手のせいだと喧嘩を始める。気付くと元の世界、隣家の双子は喧嘩しているところを母親に見つかり、叱られる。笑っているアリスも叱られた。雨の中、アリスは家に帰って行く。 鏡4「トゥイードルダムとトゥイードルディー」
15ライオンVSユニコーン アリスと姉のセリアが口論中。セリアが言うには、ベニーが自分の部屋に入ったと。本を開くとユニコーンの絵に動物の足跡が。アリスは、そんなもの証拠にならない、ダイナかもしれないと言い、喧嘩になろうという時、お母さんに止められる。家庭教師のフローレンスさんが二人をファンフェアに連れて行ってくれると伝えに来たのだ。二人は喧嘩を忘れる。場所はファンフェア、パンチ・アンド・ジュディ・ショーもかかっている。アリスはメリーゴーランドに乗る。乗ったのはユニコーン。ベニーも一緒だ。気付くとワンダーランド、アリスは本物のユニコーンの背に乗っていた。ユニコーンに何かと訊かれたアリスは、自分は子供だという。本物の子供を見たユニコーンは驚く。そこへ帽子屋が号外を配って回る。十年に一度の戦い、ライオンとユニコーンの対戦が皆の前で行われるのだ。ハートの女王が現れ、負けた者は自分の死刑執行人の前に行くことになると言う。ユニコーンは怯える。舞台は試合場。勝った者には賞品のチョコレートケーキ、それからチャンピオンであることを示す王冠が与えられる。赤コーナーはユニコーン、青コーナーはライオン。しかしライオンは姿を見せていない。試合の観客一同でライオンを捜しに行くことになる。皆とは逆、ベニーがライオンを見たという方角へとアリスとベニーは行く。途中アリスはココナッツ投げの屋台を見る。屋台にいるのは三月兎で標的はハンプティ・ダンプティ。ライオンの行方を訊くアリスにハンプティ・ダンプティは、自分にココナッツをぶつけることが出来たら答えようという。三月兎はアリスにお茶を出すが、カップには何も入っていない。何も入っていないとアリスがいうと、三月兎は「当たり前だ、ここは茶店じゃない」と怒る。そうしている間にベニーがココナッツを投げる。ハンプティ・ダンプティは避けた弾みで塀から落ちる。ハンプティは塀の後ろの枕の上に落ちたので無傷だった。アリス、ベニーとハンプティ・ダンプティがココナッツの投げ合いをしているところへライオンが現れてココナッツを受ける。アリスはライオンを追いかける。ようやくライオンは見つかる。アリスはライオンを追いかけて試合に出るように言う。そのライオンが言うには、試合に出るにはパトロン、誰かの名誉を賭けて出るための人間がいない。ユニコーンはハートの女王のために戦うが、自分にはいない。他の観衆もライオンを見つけて追いかける。一同の前にライオンとアリス、ベニーが現れる。ライオンはアリスの後援で決闘することとなったのだ。かくて二匹のレスリング試合が始まった。不意を突かれたユニコーンは木に突っ込んでしまい、角が刺さってしまう。木から抜こうとすると、角がユニコーンから取れてしまう。木から取れた角を再び額に装着、試合は再開する。今度はライオンがユニコーンに尻尾を捕まれて振り回される。しかしユニコーンが滑って転び、両者とも身体が捩れてしまう。再び試合開始。今度はつかみ合い。ライオンはユニコーンに踏み敷かれる。自分のために起きてくれというアリスにこたえて、ライオンは立ち上がる。最終的には、試合は引き分け。怒った女王はレフェリーの帽子屋の首をはねよと言う。一同が帽子屋を追いかけている間にライオンとユニコーンはその場を去る。ユニコーンはアリスとベニーを背中に乗せて。気付くとアリスはメリーゴーランドに乗っていた。アリスとセリア、フローレンスさんはファンフェアから帰るのだった。 鏡7「ライオンとユニコーン」
16クィーンのクローケー大会 居間で退屈しているアリスにお母さんは、セリアとクローケーをするように言う。ボールを遠くに飛ばしてしまったアリスはボールを探しに行く。見つけたボールは、針鼠に。アリスはワンダーランドにいたのだ。今日はハートのクィーンのクローケー試合の日だとベニーが教える。そこへ白兎とハートの兵たちが現れ、針鼠を連れて行く。アリスをはじめワンダーランドの一同はハートのクィーンの城へ行く。庭に出たアリスは、白バラの木を見る。そこでは庭師たちがバラを赤く塗っていた。赤いバラと間違えて白バラを植えてしまったので、誤魔化すために塗っているのだ。だが時既に遅く、クィーンがやってくる。庭師が梯子から落ちた表紙にペンキの缶が飛び、中から飛び散ったペンキでバラはすべて赤くなった。バラに鼻を埋めるクィーン、彼女の鼻も赤くなり、アリスとベニーは笑う。笑い声に気付いたクィーンはアリスと庭師を牢に入れる。クローケーの試合が始まろうとしている。牢にいるアリスは、自分はきっと女王を負かす、自分の首を賭けても良いと言い、クローケーに参加することに。アリスが勝てばアリスも庭師たちも奉免。負ければ死刑。かくて試合は開始された。しかしゲームは、木槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりに針鼠を使い、ゲートはハートの兵がなるのだった。ゲームの前にアリスは、フラミンゴと針鼠の安全について提案する。ココナッツの殻をフラミンゴに、ナッツの殻を針鼠に被せてヘルメットにしたのだ。クィーンのショット。次は王様。王様は針鼠にどうして欲しいかと訊く。「チュー問を訊いた」のだ。王様は何度打っても空振り。次はアリス。フラミンゴと針鼠の合図でアリスはフラミンゴの木槌を振る。針鼠は勢いよく飛ぶが、ゲートの兵達がくぐり抜けるのを邪魔する。と、クローケー場にチェシャ猫が現れ、打ち方のアドバイスをして姿を消す。自分の番になったが自信をなくすアリス。そこへまたチェシャ猫が現れ、大事なのはベストを尽くすことだと教える。接戦の末にアリスは女王に勝つ。と、気付くと元の世界。お母さんがアリスを探しに来ていた。お母さんと一緒にアリスは家に戻る。 不8「女王のクローケー場」
17チェシャキャット 呼ばれてもおらず、もう一度呼ばれたら急に現れたアリス。まるで消えるようだと言われる。呼ばれたのは銀の食器磨きをアリスに手伝って貰うため。銀の皿を磨き、そこへ自分の顔を映しているアリスは、気付くとワンダーランドへ。水鏡に自分の顔を映し、髪を切ってしまおうかと考えているところへチェシャ猫が現れる。自分ならそのままにしておくというチェシャ猫。アリスはチェシャ猫に、どうやったら消えたり現れたり出来るか訊く。チェシャ猫は、自分の技を見せる。それを見ていたティードルダムとティードルディーの双子。ディーは自分もそうやって出たり消えたり出来るようにして貰えないかとチェシャ猫に頼む。チェシャ猫は、一族の中でも自分にしか許されていないと断るが、ディーは泣き出す。チェシャ猫は、望み通りにしてやると言い、「目を閉じて十(とお)数えるにゃ」と言う。ところが消えたのはダムのほう。チェシャ猫は、「僕の出来ることはこれまで。これ以上は無理だにゃ」と言って消える。一方、塀の上ではハンプティ・ダンプティが魚の歌を歌っている(私は魚にことづけた。これが私の願いだと。海のの小さな魚たち……)。と、そこへダムが現れる。ダムがいうには、自分がいつどこへ現れたり消えたりするかコントロールできない。そう言っている間にもダムは消えてしまう。次に現れたのはクィーンのクローケー場。不法侵入で逮捕されそうになるが、また消えてしまう。アリスとベニー、ディーはダムを戻す方法を訊くため芋虫を捜す。芋虫が言うには、「ティードルディーがティードルダムをなくした場合、彼はワーブに行かなければならない。少しミムシーなボロゴーヴを摘む……」アリスが引き取って「すべてミムシーはボゴローブであり、そしてモーム・レースはグレーブの外!」どうしてそれを知っていると訊く芋虫にアリスは「有名な詩ですわ。というと、ワーブというのはジャバウォーキーの住んでいる所?」芋虫「そうだ。まさにジャバウォーキーのワーブ。それで、まさにそれはボロゴーヴであり、ピックテップでありミムシーなのだ」と言い、芋虫は姿を消す。ジャバウォーキーと聞き、ベニーは「噛みつく顎と引っ捕まえる爪」と震え出す。アリスたちは森を抜け、ジャバウォーキーの城を臨む。そこへチェシャ猫が現れるがジャバウォーキーの声を聞いてすぐに消える。アリスとディー、ベニーは森の中でボロゴーヴを捜す。花園があり、「ボロゴーヴを摘むな」との注意書き。アリスが摘むとサイレンが鳴り、ジャバウォーキーが城から出てくる。逃げるアリスたち。森を抜けたが、アリスとディーはジャバウォーキーに捕まる。ダムを助けるためにボロゴーヴを摘んだというベニー。ジャバウォーキーは、ティードルディーを助けることとボロゴーヴを摘むことにどう関係があるのかとアリスに訊く。芋虫の言葉で、ダムを取り戻すにはボロゴーヴを摘む必要があると言うアリス。ただ、ボロゴーヴの中で、どれがミムシーか判らない。ジャバウォーキーは、ミムシーなボロゴーヴをアリスに渡す。チェシャ猫がそこへ現れ、アリスからボロゴーヴを受け取る。チェシャ猫はおまじないと唱え(ミムシー、ミムシー、ボゴゴーヴ、ワーブに咲き、揺れる)、ジャバウォーキーは帰って行く。チェシャ猫のくしゃみと共にダムが現れた。しかしチェシャ猫が慌てている。さっきのボロゴーヴを貸してくれという。もう一度おまじないを唱えるが役に立たないと言う。ミムシー以外のボロゴーヴが入っているからだと。さっきジャバウォーキーが捨てたものが混じってしまったのだ。おまじないの最中にくしゃみをしてミムシーなボロゴーヴを飛ばしてしまったため、今度はチェシャ猫が消える力が止まってしまったのだ。アリスが、もう一度ジャバウォーキーにミムシーをより分けて貰ってくると言うが、そこへハートのクィーンの軍隊が現れた。王宮への不法侵入者と煽動者としてダムを逮捕しようとするのだ。しかし、同じようなのが二人いるので、兵はどちらを逮捕して良いか判らない。クィーンは、面倒なので二人とも捕まえて首を斬れと言う。クィーンはチェシャ猫も捕まえろ、あのにやにや顔は我慢がならないと言う。チェシャ猫は、普通の猫のように逃げる。兵がチェシャ猫を追いかけ、そこに残されたのはアリスとベニー、そしてハートのクィーンのみ。アリスはクィーンに誰何され、ボロゴーヴを摘んでいたと答える。そしてクィーンの前から去り、一路ジャバウォーキーの城へ。一方、ダムとディー、チェシャ猫は兵に追いかけられている。ジャバウォーキーの城では、アリスがまたボゴローヴからミムシーをより分けて貰うように頼んでいる。ジャバウォーキーは「お安い御用だが今は食事中だ」と断る。それに、そんなことはわざわざ自分のやることではない、と。「これがミムシーだと思えばそれがミムシーなのだ」とジャバウォーキーはアリスに教える。ジャバウォーキーは城を出て、ベニーを食べようと追いかけて来る。逃げるアリス。森の中で若者が現れ「ジャバウォーキー、姿を現したな、覚悟!」と剣を構える。ジャバウォーキーは逃げる。ベニーによると、若者は森の騎士。ジャバウォーキーの森にいて、ジャバウォーキーを見ると斬りかかる、天敵とのこと。一方、ダム、ディー、チェシャ猫はクィーンの兵に捕まってしまう。アリスはクィーンに、チェシャ猫に最後のお別れを言いたいと言って、チェシャ猫の側へ行く。そして、最後のお別れにボロゴーヴをチェシャ猫に渡したいと言い、許可される。これはすべてミムシーであるとチェシャ猫に伝えるアリス。そして「チェシャ猫がこの世の名残に歌を歌います」と言う。チェシャ猫はおまじないを唱え、皆はクィーンの前から消える。そして池に張り出している木の枝の上に現れる。アリスはそこから池に落ち、気付くと銀の皿に頭をぶつけていた。皿を覗くと、そこにはチェシャ猫の顔が。 不6「豚と胡椒」 鏡1「鏡の家」
18カキたちの大脱走 外で大工仕事を見ていたアリスが食堂へ。今日は特別な御馳走が出るというお母さん。それが牡蠣と聞きがっかりするアリス。しかし、その牡蠣がなくなっていた。牡蠣の嫌いなアリスは「助かった」というが、お父さんは牡蠣を食べるのを楽しみにしていたのにとがっかりする。ベニーを連れて食堂から外へ出るアリス。するとアリスはワンダーランドへ。そこは浜辺。まがい海亀が泣いている。なぜ泣いているのか話を聞こうというアリスに、まがい海亀は、自分はとても話せないので、代わりに彼らが話すと、アリスに三粒の牡蠣を紹介する。話を聞くのにアリス達はまがい海亀と別れる。牡蠣がいうには、毎夜、仲間達が蒸発するとのこと。「多分、誰かが食べてしまったのだろう」というアリス。夫が蒸発したという牡蠣が、それを聞いて失神する。そこへ「ダムゼル」とアリスに呼びかけながら白い騎士が現れる。アリスが、誰が牡蠣を食べているかつきとめるのを手助けしなければならないというと、白い騎士も手助けするという。二人とベニーは牡蠣を連れて犯行の現場へ行くが、騎士は乗馬が下手で失敗ばかりする。一同は牡蠣の住んでいる村へ着く。陰気で冷たい。牡蠣がたくさん住んでいる所。「牡蠣のように黙り込む」という言葉はここから生まれた。アリス達は牡蠣の子供達に紹介される。一同は最初に近所を探ることにした。と、金槌の音とウクレレの音が聞こえる。アリスとベニーが音の聞こえる方へ行くとセイウチとカーペンターが現れ、ここで何をしているのかと訊く。誰が牡蠣を食べているか調べているというアリスに、二人は、これは自分たちのビジネスだから放って置いてくれと言う。アリスは白い騎士の所へ戻り、彼らが何か秘密を持っているようだったと言う。望ましいことではないが、牡蠣泥棒を捜すにはハートのクィーンの力を借りるしかないとも。一同はハートのクィーンの城へ行く。クィーンは協力するといい、容疑者として、王と道化を牢に放り込もうとする。アリスは「頭を使って推理する」ことを提案する。アリスはパーティと偽りワンダーランドの住民を城へと集める。アリスが、犯人の特徴を推理する。牡蠣を盗んで食べたのは、とても頭の良い人、とても悪くてずる賢く、牡蠣の殻をこじ開けることの出来る爪を持っていて、力が強い。もしかしたら頭がイカレているかもしれない。アリスの推理する犯人はセイウチとカーペンター。金槌の音は牡蠣の殻を割って開ける音、ウクレレの音はムードを出すため。捕まえに行こうというクィーンに、アリスは、まだ推測なので、今一度行って、現場を押さえようと提案する、考えがある、と。アリスは芋虫に、身体を小さくしたいと言い、芋虫は茸を指して、ここを食べろと言う。アリスとベニーは小さくなる。大きくなるための茸の欠片を手にアリスは芋虫の履く煙に乗って、牡蠣の住む入り江に行く。芋虫の忠告「何事も真剣に取り組むこと。それが人生を真珠にする」、その言葉をかみしめるアリスは、ひょっとしたらセイウチたちの目的は牡蠣を食べることではないかもしれないと言う。夜、セイウチたちの所へ忍んでいったアリスとベニーは、小さな家がたくさんあるのを発見する。家はカーペンターが作っていたのだ。セイウチとカーペンターが出掛けている間にアリスたちは小さな家へと行く。家の窓には鉄格子がはめられていた。家は牢だったのだ。中には牡蠣がいた。アリスの推理は当たっていた。セイウチたちは真珠の養殖のために牡蠣たちをさらっていたのだ。牡蠣的なマンションがあると騙して。閉じ込められた牡蠣にセイウチが一晩中ウクレレの音を聞かせると、牡蠣はストレスで真珠を吐き出すのだ。アリスは作戦を考えつく。アリスが合図したら、皆が一斉にたくさんの真珠を吐き出すように、と。セイウチたちが新しい牡蠣を連れて戻ってきた。アリスが現れ、牡蠣にセイウチたちの悪巧みを話す。囚われている牡蠣たちも一斉に声を上げる。今来た牡蠣と共にアリスは逃げる。後を追うセイウチたち。牡蠣たちが吐き出した真珠でセイウチとカーペンターは滑って転ぶ。アリスはその間に牢の鍵を開けで牡蠣を脱出させる。逃げるアリスをセイウチが追う。その先には白い騎士がいた。逃げるセイウチ。セイウチは再び真珠で転び、落馬した騎士も彼らの上へ。牡蠣は無事、村へ帰った。茸で元の大きさに戻ったアリスの所へセイウチとカーペンターが追いつく。よくも邪魔したなとアリスにつかみかかるセイウチ。放してと手を振り回すアリス。と、再び現実世界へ。池に落ちそうだったところを大工さんに引き戻されたのだった。大工さんの口から、牡蠣が見つかったと聞く。冷蔵庫に入れ忘れていたのだと。アリスは「牡蠣を監禁するのはあまりいいこととは言えないと思う」と言いながら、家に入って行く。 鏡4「トゥイードルダムとトゥイードルディー」
19エビのカドリール アリスとセリアはお母さんに連れられてダンスの学校へ。アリスはあまり乗り気ではない。入ったところ、太った教師(男性)が踊っているのを見てアリスは笑ってしまう。教師はアリスに、踊ってみせるように言う。そして、アリスは一番初歩のクラスへ入ることになった。ベニーと二人踊っていると、ワンダーランドに。二人は浜辺にいた。浜辺ではセイウチの手拍子に合わせて伊勢エビ、まがい亀、グリフォンがダンスの練習をしている。アリスがダンス学校に行ったと知り、伊勢エビたちはアリスに、セイウチの代わりにダンスを教えて貰えないかと言う。彼らはハートのクィーンの仮装パーティで余興をしなければいけないのだが、セイウチが伊勢エビカドリールを踊ると約束してしまったのだ。しかし、セイウチは、伊勢エビが伊勢エビカドリールを知らないということを忘れていたのだ。アリスは、自分が教えようという。ダンスの練習は全員が転んで失敗。しかし、もう出演の5分前だとハートの兵が伝えに来る。一同が城へ行き、残ったアリスとベニーの所へ伊勢エビがやってくる。さっき行った伊勢エビ・フレッドの弟、ルイだ。ルイが言うには、フレッドと違い、自分にはダンスの才能に恵まれている、と。アリスの前でルイは伊勢エビカドリールを踊ってみせようと言う。ルイの背中に乗るアリスとベニー。海に入るが、二人とも息が出来る。海の底、沈没船の中には灯りが点っている。中では蛸がオルガンを弾き、伊勢エビたちがカドリールを踊る。アリスは開いたホタテ貝の座席に座る。踊りの中にイルカが加わる。「イルカが入らなければ、本当のカドリールじゃないんだ」クラゲとハリセンボンも踊りに加わる。照明は電気鰻。クィーンの前で踊りが披露出来ないかというアリスにルイは、他の伊勢エビは貧しい貝のチャリティ・ショーがあるが、自分だけなら踊っても良いと言う。ただ、パートナーは必要だ、とも。一方、ハートのクィーンの城。クィーンは馬に蹴られて飛んでしまう。ジョーカー「とんだことになりましたね」。怒ったクィーンは、笑ったハンプティ・ダンプティの首を斬れというが、それはハンプティ・ダンプティに仮装していたビルだった。白兎がラッパを吹くが、いつもと違ってちゃんと吹けている。クィーンが褒めるとそれはドードーの仮装。いよいよショーが始まる。セイウチ一同が出てくるが見事に失敗。クィーンが彼らの首を斬れという所へアリスとルイが到着。アリス、ベニー、ルイで伊勢エビカドリールを踊る。これを王様にも見せようとクィーンは王様を呼ぶが、そこに出てきたのは王様に仮装したジャバウォーキー。クィーンとジャバウォーキーも一緒に踊る。パートナーチェンジでアリスがジャバウォーキーのパートナーに。ベニーがジャバウォーキーの手の爪に気付く。皆が逃げる中、アリスは手を掴まれて逃げることが出来ない。放してとあらがっていると、元の世界。アリスはお母さんに手を掴まれていたのだ。先生と話をし、稽古は次からとなった。「ダンスを習うなら、セイウチより伊勢エビのほうがいいみたい」とアリスは言い、部屋を出て行く。 不10「エビのカドリール」
20おかしなティーパーティ アリスの家で、お客様を招いてのお茶会。お母さんはセリアとアリスを紹介するが、アリスがいない。家を抜け出そうとしているところを見つかったアリスはお茶会へ出ることに。しかしアリスはお茶会には出たくないと言う。「お茶会は時間の無駄だと思います」アリスはベニーを連れて外へ出ることが出来た。アリスが庭を歩いていると、そこはワンダーランドに。そこでは帽子屋と三月兎が何か言い争っていた。近くにアリスが行くと「席はないよ」、アリスは「充分あるでしょ」そう言って椅子に座る。三月兎にワインを勧められ(もちろん存在しない)、帽子屋には髪を切る必要があると言われる。そして、帽子屋がなぞなぞ「カラスと机が似ているのは、どうして?」とアリスに訊く。アリスが考えている間、帽子屋は時計を見て、調子が良くない、油ぎれかと言う。バターが油だと三月兎に言われた帽子屋はバターを時計に塗る。そしてアリスに「今日は何日だ?」と訊く。「四日」「二日狂った。バターは役に立たない」「あれは特上のバターだったんだぞ」帽子屋から時計を受け取った三月兎は時計をお茶に浸す。アリスは帽子屋に、パーティの他の客はいつ来るのかと訊く。「もちろん四時だ」「でも、もう四時を過ぎじゃないかしら」すると三月兎が「そいつは判らない。この時計は時間ではなく日付しか計れない。おまけに止まってしまっている」と言って、時計を捨てる。帽子屋は木に掛かっている時計を見に行くと、その時計も止まっている。そこへ白兎が現れたので帽子屋が時間を訊くと、白兎の時計も止まってしまっていた。三月兎が家の時計を見に行くと、どの時計もお茶の時間で止まっていた。「それでわしらはいつもティータイムというわけか」と帽子屋。これには訳がありそうだと考える。帽子屋は、ワンダーランド中の時計が止まっているとするなら、時の翁の仕業に違いない、何か腹を立てているのだと言う。帽子屋によると、帽子屋と時の翁は、ハートの女王主宰のコンサートで喧嘩をしたとのこと。帽子屋は歌を歌わなければならなかった。「きらきら 蝙蝠よ 何を狙って 空を飛ぶ 蛙か蜥蜴がゲジゲジか はたまた金魚の玉子焼き」あまりの音痴ぶりにアリスは「あなたが時を殺そうとしたんじゃない?」帽子屋の言うには、それ以来、時の翁は自分を恨み、時々、時計を止めて仕返しをする。決して明日になることはなく、誰も自分たちのティーパーティにやってくることはないだろう。アリスは「時の翁の誤解を解いたら」と言い、三月兎も「時を得たやり方だ」と賛成する。アリスは「時はすべての傷を癒す」と言う。かくてアリス達は時の翁の所へ行くことになった。アリス曰く「時は人を待ってはくれない」、考え事をしているアリスに三月兎が「おいでアリス。時が飛んで行く」と言う、空を見ると、羽の生えた時計の一群が飛んでいる。あとをつけて行けば時の翁に会うことが出来ると、帽子屋、三月兎、アリス、ベニー、眠り鼠は時計を追いかけて行く。途中ハンプティ・ダンプティに会う。ハンプティ・ダンプティは「そんなに急いでどこへ行くんだい? 時間を取ったらどうだ」と言うが事情を訊いたハンプティ・ダンプティは、自分でも事情を訊いてみると歩き出す。ところが、そこにあった日時計にも影がなくなっていた。時が止まっているとハンプティ・ダンプティは言う。帽子屋は「時が去ってしまう。行こう」といい、一同は再び時計を追いかける。帽子屋は公爵夫人にぶつかってしまう。「急ぐ時は、よく前を見なさい」「その時が止まってるんです」。公爵夫人も時計を確認しようと、持ってこさせる。投げつけられた時計は止まっていた。再び急ぐ一同。時の翁の城に着く一同。三月兎が、今何時だろうと言うと、城の中から「6時55分10秒。すべて順調」と声がする。声の主は時の翁だった。一同は城へと招き入れられる。時の翁は「時は必要欠くべからざるもの。時を止めるなどという馬鹿げたことをしている時間が全くない」と言う。時計に優しくしている時の翁を見て、アリスは「時の翁がとても意地悪な人だとは思えないわ。むしろその優しさが心を打つわ」と言う。と、城中の時計が時を打ち始めた。自分の仕事の中で、最もきつい部分だと時の翁は言う。忙しく時計を見て回る時の翁に三月兎が、自分の時計が止まっているのだと見せる。時の翁は、時計のゼンマイを巻いたかと訊き、三月兎がゼンマイを巻く。ゼンマイのないハンプティ・ダンプティの日時計が、なぜ時間を指さないのかとアリスが訊くと、「太陽は出ていたかい?」と時の翁。太陽がなければ影もない。だから日時計では時間が判らない。公爵夫人の時計は帽子屋の頭にぶつかり止まったのだ。では、帽子屋と白兎の時計は? アリスは「お母さんが言うには、イメルダおばさんは、時計を止める顔を持ってる」というが、時の翁に顔を見られ、口をつぐむ。時の翁は「面白い理論だ。だが、ワンダーランドで誰が時計をとめるほどに醜い顔をしているかということじゃ」。一同はてんでに候補者の名前を挙げる。ベニーが「ジャバウォーキー」と言い、時の翁も「もちろん、ジャバウォーキーじゃ」と言う。時の翁は「皆さんでジャバウォーキーを訪問してはどうか」と言い、少し時を戻すと言う。帽子屋が止めようとするが時の翁は「時は人を待たず」と言い、持っていた砂時計を振り回す。すると(まるで漫画版ドラえもんのタイムトンネルのような)空間に一同はいた。その中を飛んで行き、浮かんでいる時計の中に入る。「ここはどこなの」とアリス。そこは時計世界だった。なんとか外へ出ようとする一同。その間にベニーがネジを抑えている小人を見つける。面白そうだと代わってもらうベニー。小人はそのままどこかへ行ってしまった。アリスに呼ばれてネジから手を放すベニー。と、ゼンマイがはじけてまう。時計世界は分解し、一同は放り出され、ワンダーランドへ落ちて来る。そこはジャバウォーキーの城の前。時間は昨日の3時30分。一同は城へ向かう。ジャバウォーキーの顔を見た時の翁は「本当に醜い。彼の顔は時計を止めるだけでなく、時が静止していることさえ邪魔する」と言う。ジャバウォーキーがどうして時計を止めたのかとアリスは疑問に思うが、それにジャバウォーキーが答える。それはある日曜の朝、教会の鐘で眠りを妨げられたジャバウォーキーは、教会の時計をはじめ、ワンダーランドの何百という時計を止めたのだった。時の翁「相当に根性が曲がっとる。だが直せるだろう。時さえかければな」時の翁はジャバウォーキーの前で砂時計を振り回す。と、ジャバウォーキーは煙のようなものに巻かれ、見えなくなった。「彼は時がなかなかに手強い相手だということを理解しつつある。彼の生涯からちょっとばかり年を引いてやった」。時の翁が城の扉を開けると、そこには赤ん坊になってしまったジャバウォーキーがいた。時の翁「いいか、お前に自分のやったことを反省するために少しばかり暇をやろう」ジャバウォーキーが一同にあかんべえをすると、それはセリアになり、アリスはもとの世界に戻っていた。自分はお菓子を貰ったがアリスは貰えなかったと言ってセリアは立ち去る。家に戻ったアリスはお母さんにお菓子を貰おうとするが、もうすぐ夕食の時間だからだめだと言われる。「まだ三時よ。六時まではまだあるでしょ」。お母さんはアリスにお菓子をあげながら時計を見ると、止まっている。アリスは「ミネルバおばさん、いや、ジャバウォーキーがここに来たからではないかしら」と言って、また外へ出る。 不7「気違いお茶会」
21すてきなサーカスランド アリスたちはサーカスに来ている。テントに入ったがアリスだけがいない。サーカスが始まると、スポットライトを浴びて舞台に立っていたのはベニーを抱いたアリス。アリスが見回していると、いつの間にかワンダーランドへ。ダムとディーに呼びかけられてアリスは我に返る。ディーとダムは鞄を手にしている。ワンダーランドにサーカスが来たので、二人は入ろうとしているのだ。ワンダーランドの生活に飽きたのだ、と。サーカスに行くと、そこはぼろぼろのテント。ダムたちは中に入る。アリスも追って中に。そこではリハーサルが始まろうとしていた。だが、失敗ばかり、タレントたちが辞めていなくなってしまったのだ。もうサーカスを閉めようという団長に、アリス達はサーカスに入りたいから閉めるのを待って欲しいと言う。団長にどれだけ厳しいか聞かされ、ダムたちはサーカスに入るのをやめる。しかし、アリスはやると言い、ダムたちも一緒にサーカスをやることになる。団長は、ただで働く人なんかいないというが、アリスは、ワンダーランドにはサーカスで働きたい人がいっぱいいると言う。団長たちは、サーカスを続けることにした。一方、ハートの城では王とクィーンが退屈していた。アリス達が城の表でサーカスのポスターを張っているのを見て、王は興味を引かれるが、前に見たことのあるクィーンは、酷いものだったという。アリスはサーカスで新しいタレントを求めてオーディションをするという。王と道化はオーディションを受けることにした。衣装もテントも新しくなったサーカス。帽子屋は鼻に棒を載せ、その上にカップ、中には眠り鼠。ハンプティ・ダンプティは綱渡り、セイウチはラッパを吹いている。しかし練習中にチェスの女王が現れ、テントを出て行くとそこにはライオン「獰猛なフランク」の檻が。チェスの女王は構わず檻に入って行く。ライオンは檻から飛び出し、テントへ入って行く。テントの中はパニック。逃げる団長達を追うライオンは、自分はサーカスを辞めてジャングルに帰るのだという。「そんなこと言ったって、お前はジャングルに住んでいたことなんかないじゃないか!」なおも追うライオン。テントの中で綿飴を売っていた公爵夫人と料理人、赤ん坊もライオンを見て逃げる。公爵夫人の放って逃げた綿飴を口にしたライオンはくしゃみが止まらなくなる。綿飴には胡椒と糖蜜が入っていたのだ。公爵夫人達を追いかけるライオン。怒ったライオンはテントの支柱と言わず塀と言わず片端から囓って、去ってゆく。「獰猛なフランク」抜きでサーカスをすることになったと嘆く団長。アリスはライオンにサーカスへ戻るよう話してみると言う。アリスは「獰猛なフランク」の囓った後を探しながらライオンを追う。と、ハートの城から声が聞こえてきた。ライオンはクィーンの部屋に来ていた。「女王様は欠点もあるけど、こんな恐ろしい終末を迎えるなんて、考えたくもないわ」女王を助けようとアリスは部屋に飛び込むが、そこでは「獰猛なフランク」がクィーンに懲らしめられているところだった。アリスは自分がライオンの身元引受人であり、ライオンは獰猛な演技の練習が過ぎたのだと庇う。クィーンはライオンを許す。帰途、ライオンはどうして自分のやったことが演技だと判ったのかとアリスに問う。アリスは、ライオンは皆を怖がらせたけど誰一人傷つけていないからと答える。気付けば再び元の世界のサーカスの舞台。アリスは席に戻り、ライオンのショーが始まる。「しっかりね、ライオンさん」とのアリスの声に応えて吼えたのは、ワンダーランドの「獰猛なフランク」だった。 (オリジナル)
22くいしんぼうジャック アリスの家のお客さんが、息子のハロルドを連れてくる。ずっと寄宿学校にいたのだが、休みで帰ってきていたのだ。アリスはハロルドと一緒に遊ぶことに。二人きりになるとハロルドはベニーを苛め、花瓶を壊してアリスのせいにする。台所ではタルトをつまみ食いする。叱る料理人のスパイスハム夫人を使用人の言うことなんか聞くものかと言い、怒ったアリスはハロルドの足を踏みつけるとハロルドは泣いて台所を出て行く。アリスはスパイスハム夫人に言われて庭へ出る。お母さんが呼ぶ声を背に歩いているといつの間にかワンダーランドへ。呼び声もいつの間にか三月兎に。アリスはピクニックをしていた帽子屋と三月兎、眠り鼠が地面に敷いたシートを踏んでいたのだ。帽子屋たちと話しているうちにアリスたちは崖から転んで落ちてしまう。落ちた時には皆の衣装が入れ違ってしまう。それを着替えていると、崖の上で何かを食べる音が。ハートのジャックが帽子屋たちの用意していた食べ物を盗み食いしていたのだ。帽子屋たちが、自分たちの弁当を食べたとクィーンに言い付けるというと、証拠はない、なぜなら自分が全部食べてしまったからとジャックは言い返す。アリスは、ジャックの振る舞いを女王に言うと言ってその場を立ち去る。「あいつが何言ったって、僕が帰って一言言えばおしまいさ」とジャック。「でも、あの子が城へ着く前に帰った方が良さそうだな」ジャックは馬で城へ帰る。ジャックは道にいるアリスを尻目に城へ帰っていった。城では、寄宿学校からジャックが帰ってくるというので、クィーンが帰宅パーティの準備に余念がない。公爵夫人のコックに頼んで、苺のタルトを焼いて貰ったと言う。台所では公爵夫人たちが料理の傍ら物を投げ合っている。城の門で歓声が上がり、ジャックが帰ってきた。クィーンと抱き合うジャック。「あの母と子はとっても強い愛情で結ばれてるのね。でも言うべきことは言わなくちゃね」と、それを見ていたアリスは言う。城の食堂では、クィーンに見守られながらジャックが食事をしている。そこへアリスがやってきて、ジャックの振る舞いについて文句を言う。そうしている間に台所から声が。公爵夫人とコックが入って来て、誰かがタルトを盗んだと言う。クィーンの命令一下、城は閉鎖される。犯人を見つけたら、と、クィーンは首に手をやる。ジャックは「でも結局、ただのタルトだろ。味も良くないし、焼け過ぎのタルトだよ」というジャックにアリスは「どうして判るの?」と訊く。言葉に詰まったジャックは「この子はまた僕を苛めようしている。学校の連中と同じだ」と叫ぶ。回りはジャックの言葉に耳を傾けない。「僕は城に帰ったばかりだ。どうやってタルトを盗んだっていうんだよ」「城に入る道は、城の台所の窓の下を通っているわ」とアリス。コックは、タルトを冷やすために窓枠の上にタルトを置いたという。自分もその道を取ってきたというアリスにクィーンは、「それなら、お前も簡単にタルトを盗めたわけね」という。「そんなこと考えても見なかった」とアリス。「お前は僕のせいにしようとしているんだ。お前なんか嫌いだい!」と飛び跳ねるジャックの服からタルトが落ちて来た。王は「そのタルトはお前の服の中で何をしていたんだい?」と問う。「ぼくはそれを食べる時間がなくて、あとで食べようと取っておいたんだ」。兵が現れ「ジャックさまを牢に入れ、喉のマッサージをしましょうか」と言う。「それがこのいたずら坊やのお灸になるなら」とクィーンが悲しそうに言うが、アリスは「少なくともジャックは、公平な裁判を受ける必要があります」と言う。かくて裁判が始まった。白兎による罪状読み上げ。「ハートの女王はある夏の日、タルトを作りました。ハートのジャックはそのタルトを盗み、持ち去った」。最初の証人は帽子屋、三月兎、眠り鼠。帽子屋はお茶をハートの王に注文する。ジャックと陪審席からも食べ物の注文が。クィーンが静粛を命じ、次の証人を呼ぶ。次の証人は公爵夫人のコック。コックの胡椒でくしゃみしたアリスは大きくなる。王「タルトは、何で出来ているかな?」コック「たいてい、胡椒」眠り鼠「糖蜜」。眠り鼠を捕らえて首と髭を刎ねよとのクィーンの命令に、眠り鼠は逃げる。次の証人はアリス。眠り鼠を捕まえようと陪審席に入っていたアリスが立ち上がって証人席へ行くと、陪審席はひっくり返ってしまう。陪審員を元に戻したアリスは再び証人席へ。王「この件について何か知っていることは?」アリス「何にも」皆が驚く。アリスは「何も知りません。ただし、これらのタルトが」と言い、証拠のタルトを少し食べ、くしゃみして再び小さくなる。「これほどまずいタルトが世の中にあるでしょうか」アリスは続ける「こんなタルトを食べるのは、頭のおかしい、くるっくるぱーの悪漢のような食いしん坊だけです」「ねえ皆さん、これでお解りでしょう。僕は無罪です。これがくるくるぱーの、頭のおかしい、悪漢のような顔でしょうか?」とジャック。「これで終わりだね。ねえママ、今日の夕食は何?」クィーンは「今日の夕食は抜きです。被告は、私のわがまま息子は有罪です」ジャックは「ママが僕を見捨てた」と泣く。と、元の世界へ。ハロルドが泣いている。「アリスが苛める」と。「苛めてなんかいないわ。でも、そのタルトどこから持ってきたの?」ハロルドのお母さんが現れ、帰るのだという「アリス、さようなら。今度来る時は、もっと仲良くしてあげてね」と言ってハロルドと一緒に帰る。「あの子もやっぱり裁判に掛けるべきだわ」とアリス。 不11「誰がタルトを盗んだか」
不12「アリスの証言」
23さか立ち大行進 アリスの家には多くのお客さんが来ている。みな一様に税の高いことをぼやいている。アリスはお客さんにオードブルを配る役だったが、だれもオードブルを欲しがらないので部屋を出て行く。アリスは部屋の外でセリアと税金の話をする。アリスはベニーを抱えながら「だれもそんなもの払わなくてもいい場所知ってるわ」と言うと、気付けばワンダーランドへ。そこでは白の騎士が馬を背負って歩いていた。ハートのクィーンのせいで馬に乗れないのだという。そもそもハートのクィーンがクローケーの練習をしているとボールが消えてしまった。もう城には試合用のボール二つしかない。なぜこんなにボールが少ないか。それはクィーンが議会を解散させた際、議員に退職金としてクローケーボール基金と退職金として分配したからだという。かくてクローケーボールの基金のために新しい税を創設することになったのだが、ジャックのアイディアでそれは交通税。交通機関のないワンダーランドでは、足に税金を掛けることになったのだ。すべてのワンダーランドの住民は、今後足一足につき50ポンドの税金を払うこと。人頭税というものがある。人の頭に税金がかけられるなら、足にかけてもおかしくないだろう。白の騎士は、自分の分の足税までは払えるが、馬は無理だということで背負って歩いているのだ。森の中ではダムとディーが草に絡まれ、頭には鳥が巣を張っている。足税に抵抗してずっと動いていないのだという。芋虫に相談してみるとアリスは森を抜けるが、向こうの方から足音が聞こえてくる。トランプの兵たちが鷲とインコを捕まえて護送しているのだ「こんなことならこの立派な羽根を使って飛べば、歩かなくても済んだのに」クィーンは本気だとアリスは思う。アリスは帽子屋、三月兎、眠り鼠と出会う。三人は散歩しているのだが、主義にかけて税金は払わないという。歩き去った三人だが、トランプ兵に捕らえられてしまった。「何事も、主義を貫くというのは大変なことなのね」と、芋虫が現れ「その通り。人がその主義を貫こうとする時にはそれに相応しい能力を持たねば、ただの空威張りになる」。アリスは芋虫に足税のことを相談するが、芋虫は地上の税などは関係ないといい、自分の吹いた煙に乗って飛んで行ってしまう。そこへビルが現れる。ビルは仰向けに寝そべって動いている。足を使わずに歩く工夫をしているというのだ。チェシャ猫が笑いながら現れ、もっと冷えを働かせたらどうかと言う。そして、こういうのはどうかと、逆立ちして歩く。クィーンがかけたのは足税であり、手税ではないのだ。アリスたちは歌いながら行進、皆に「脱税」の仕方を見せて歩く。城では、ハートのクィーンがジャックから、誰も足税を払わなくなったという報告を聞いている。そこへジョーカーと王がワンダーランドで流行っている歩き方だと、逆立ちで入ってくる。チェスの女王も逆立ちしながらクローケーをして入って来た。クローケーの例会にと部屋を出たクィーンが見たのは、逆立ちしている兵たちの姿だった。クローケー場でも、みな逆立ちでゲームをしている。クィーンが怒って「みんな、何してるの、立ったらどうなの!」アリスがそれに答え「いいえ、女王陛下。皆、足税を払いたくないのです」「誰がこんな馬鹿なことを考え出したんだい?」チェシャ猫が「私でございます、女王様」それを聞いたクィーンは、チェシャ猫の首を斬ると言う。アリスは「彼はみんなのために知恵を貸しただけです。いけないことでしょうか?」クィーンは、アリスとクローケーの試合をし、アリスが勝ったらチェシャ猫はお構いなし、クィーンが勝てば首を斬ると言う。但し、アリスは逆立ちのまま、クィーンは立ってやる。それは公平でないとアリス。プレーが公平でなければクィーンはペテン師と呼ばれることになる。女王はペテンをしない、とクィーンは言い、アリスに立ってゲームをするように言う。アリスは、自分はこのままで結構だ、クィーンも逆立ちするべきであるという。かくて両者逆立ちでゲームが始まることになった。しかしゲームの途中でアリスのボールが消える。そしてクィーンのボールも。ベニーがボールの消えた辺りへ行ってみると、そこには穴が。奥にボールがある。ベニーはボールを取ろうと穴を掘り返し、自分も落ちてしまう。ボールと一緒にベニーは穴を転がって行き、大きな穴の中へ出てきた。そこにはクローケーのボールが山になっていた。そこにいたモグラが言うには、ベニーの落ちた穴から来たボールもあるが、多くは城の金庫室の中にあったものが落ちて来たのだ。モグラは菜園の野菜を目当てに穴を掘っていたのだが、間違って金庫室の床に穴を開けてしまったのだ。これだけのボールの始末に困っているというモグラに、地上に送り返したらどうかと提案するベニー。しかしモグラは捕まりたくないという。ベニーは、自分に考えがあるという。ベニーがボールを一つ持って穴から出てきてアリスに耳打ちする。アリスはクィーンに、もしクローケーのボールが沢山あれば足税が廃止されるかと訊く。もちろん廃止するとクィーン。それを聞いてベニーが穴の中に合図すると、穴からボールが飛び出してきた。モグラがボールをリレーして地上に戻しているのだ。そしてアリスは気付けばソファーで寝ていた。お母さんに起こされたアリスは、家でも税金を払っているのかと訊く。払っていると聞いてアリスは、「一度国の金庫を調べたほうがいいわね。穴があるかもね」と言い、「誰がそんなこと言ったの?」と驚くお母さんを残して表へ出て行く。 (オリジナル)
24消えたベニー アリスの家。アリスはいなくなったベニーを捜している。窓から、近くの家に駆け込む兎を見てベニーだと思ったアリスは雨の中、家を出る。ドアをノックするとカエルが応対に。そこは公爵夫人の家だった。料理人にベニーは水瓶の中に入っていったと聞いたアリスは豚の赤ん坊とカエルの下男を道案内に水瓶に入る。水を通って出てきた地上で、アリスは豚を追いかける。飛んでいる虫にぶつかったカエルの下男は「わしはここで待っておるよ。出たり入ったりして待っておるよ」と言って立ち止まってしまう。地面には木馬のような虫が。アリスがそれを飛ばしてやる。「なんて奇妙なんでしょう」、と「驚くことはないわ、お嬢さん」と声が。声の主は鬼百合だった。虫が木馬蠅というのだと教わる。ベニーがどっちへ行ったかを鬼百合に教わったアリスは立ち止まったままのカエルを残して道を行く。行く道で、木の上にまたも変な生きものが。それが地面に落ちたかと思うと、地面では箱が二つ跳ねながら歩いている。一つの箱から出てきた生きもの(柊の葉が羽根になっていて、頭に蝋燭の火が点いている)はもう一つの箱から出てきたパンケーキを切って食べる。「ワンダーランドではずいぶんおかしなことを見たけど、こんなに奇妙なことは初めてだわ」。その生きものは再び箱に入って跳ねて行く。空には海老の胴体に角砂糖の頭、食パンの羽根といった生きものが飛んでいる。後をついて行くと生きものは花の上にあったティーカップの中味を飲んでいる。アリスは豚を追っていることを思い出し、道を行く。森の中に水の壁があり、そこからライオンが出てくる。ユニコーンも後に続いて出てくる。格闘中に池に落ちて、やってきたということだった。ユニコーンにアリスは教わる。ここはワンダーランドの鏡の国であると。ライオンが説明を加える。鏡とか水とか、写るものの向こう側の国であると。ベニーが消えたこと、豚の赤ん坊を見失ったことをアリスが話すとユニコーンは自分についてくるように言う。この角が作り付けのコンパスみたいなものというユニコーン。しかしその角を木に突き刺してしまい、頭から外れてしまう。再び角を頭につけたユニコーンは道を進む。そして豚の足跡を見つける。向かっている先はジャバウォーキーの家。ユニコーンとライオンは怯えるがアリスは平気。恐れないアリスにふたりは驚く。ユニコーンは「血走った目、何者をも引き裂かずにはおかない鋭い爪、恐ろしい牙。不気味な吠え声はワンダーランド中を恐怖のどん底に叩き込む」そう言っている間に、豚の赤ん坊が戻ってきた。そしてついてこいと促す。アリスはライオンとユニコーンを引き連れて進む。森の中、またも目の前には水の壁が。壁を抜けたアリスは水瓶に出てきた。そこは巨大な屋敷。そこの子供部屋のベビーベッドにベニーは寝ていた。帰ろうというアリス。だがベニーはジャバおばさんと約束したから帰れないと言う。現れたのは食べ物を持ってきた「ジャバおばさん」。ベニーは大好きな人参のスープを食べる。おかわりを求めるベニー。「ジャバおばさん」はもう一杯持ってくると言って部屋を出る。あのおばさん、怪しいと思わないかと言うアリスは、ベニーが太ったのに気付く。なんでここにいるのかと訊くアリスにベニーは、自分はジャバおばさんに呼ばれてきた。ジャバおばさんは一人で淋しいと言っていたと言う。どうやってベニーを呼んだのかとアリスが訊くと、妙な音が。「ジャバおばさん」がこうやって呼んだのだと口笛を吹く。それを聞くとベニーは夢うつつとなる。アリスは「判ったわ。あなたはジャバおばさんなんかじゃない、ジャバウォーキーよ」と言う。しらを切る「ジャバおばさん」、なおも言い張るアリス。ベニーは悩む「でも親切にたくさん御馳走してくれるんだよ」。それが怪しいとアリスは言う。ベニーを豚の子のように太らせて……そうアリスが言いかけると「ジャバおばさん」は女装を解き、ジャバウォーキーの姿になった「そこまで見破られたんじゃしょうがない」。アリスはベニーや豚の赤ん坊と逃げる。水瓶を通って鏡の国へ逃げるアリスたち。ジャバウォーキーも追いかけて来る。待っていたライオンとユニコーンも一緒に逃げる。森の木を蹴散らして追いかけて来るジャバウォーキーだが、木の蔓に足を引っ掛け転んでしまう。ジャバウォーキーは「どうあってもあの兎ちゃんだけは頂くわよ」と、口笛を吹く。催眠状態になったベニーは戻って行こうとする。こんな時に芋虫がいたらいいのだがと困っているアリスを豚の赤ん坊がこっちへ来いと合図する。行くと水の壁の向こうに煙草の煙が。水を抜けて水たまりへ出たアリスは芋虫に会う。芋虫に、ベニーが自分の言うことを聞かずにどんどん行ってしまうと相談する。芋虫は、アリスの言うことを聞かないのなら、誰か他の者の言うことを聞いているのだと言う。聞くのは耳だ、とも。アリスは鏡の国へ戻る。ベニーに追いついたアリスは芋虫の言葉の意味に気付き、ベニーの耳をつかむ。音が聞こえなくなったベニーは正気を取り戻す。耳を結んでしまい、音を聞こえなくしたベニーを抱いて、アリスは逃げる。森ではベニーが戻ってこないとジャバウォーキーがひたすら口笛を吹いていた。ハートのクィーンの城。庭にある池で白兎が顔を洗っている。そこへジャバウォーキーの口笛が届き、白兎は水を抜けて鏡の国へ。目をつぶったまま白兎をつかまえたジャバウォーキーは目を開けて「ぎゃ、違う!」催眠状態から醒めた白兎も「ジャバウォーキーだ!」と逃げる。ジャバウォーキーは怒って白兎を追いかけるアリスたちもそれを見て逃げる。ライオンとユニコーンも逃げる。カエルの下男も逃げる。公爵夫人の家に逃げ戻ったアリス達。だが水瓶からジャバウォーキーの頭が。ライオンとユニコーンが水瓶をひっくり返す。流れ出した水から頭だけ出ているジャバウォーキーを公爵夫人と料理人が叩いたり踏んだり。ジャバウォーキーは消えてしまう。気付くとアリスは居間の椅子に。ベニーの耳は結ばれたまま。お母さんは、「迷子になったお仕置きだとしても少し可哀想なんじゃない」とアリスに言う。 鏡2「生きている花の庭」
鏡3「鏡の国の昆虫たち」
25グリーンランドの秘密 アリスが庭でタンポポの綿毛を飛ばしていると、セリアにやたら雑草の種を飛ばすものではない、畑の作物の邪魔になると言われる。雑草のために農民がどれだけ苦労しているか知らない、と。綿毛を追いかけるアリスは野菜を運んでいたスパイスハム夫人にぶつかってしまう。料理人のスパイスハム夫人が落とした野菜を拾い集めようとする。と、アリスはワンダーランドにいた。野菜たちが目覚め、その中の蕪がアリスに何をしているのか尋ねる。落ちた野菜を拾ってコックさんの所へ料理して貰いに運ぶと答えるアリス。「君は蕪が好きか」「あまり好きじゃないわ。でも人参よりはマシかもね」それを聞いた人参が「やっぱりそうだ。君も僕らのことが嫌いなんだ」。行こうという人参の声に従い、野菜達は去ってしまう。誤解を解こうとアリスは野菜を追いかける。どこへ行くのかと訊くアリスに、自分たちはグリーンランドへ行くという蕪。そこが自分たちの楽園になった、と。一年中寒くて氷に覆われていると言うアリスに、だから邪魔者が来ないという蕪。そうしている内に、同じく野菜を追いかけている白兎に出会う。白兎が、逃げたのは野菜ばかりではないといい、ハートのクィーンに知らせに行く。アリスは、ワンダーランドがおかしいのに気付く。緑が全くないのだ。そこへクローケーの玉を打ったチェスの女王とチェスの王がやってきたが、何が起こっているか、彼らは全く無頓着。自分で何が起こったか確かめるというアリス。涙を流す柳の木に来ると、枝に木の番人が座っている。元気がない。ワンダーランド中緑がない。木の葉が逃げていったのだ。草や畑の作物もいなくなった。アリスが、野菜はグリーンランドへ行くと言っていたと番人に言う。これでは大変なことになると番人。緑が戻ってこなければ、ワンダーランドは滅びるしかない、と。グリーンランドは海の向こう。船を借りるためにアリスと番人はハートのクィーンの所へ。城の庭の木は緑。だがそれは作り物だった。城からはチェシャ猫が逃げてきた。それを追うトランプの兵隊。彼らをやり過ごして城に入ると、中庭をトランプの兵たちが緑に塗っていた。女王陛下の命令で、木と芝生を緑に塗っているのだ。そこへハートのクィーンと白兎が現れる。緑を取り戻すために船を貸して欲しいとアリスはクィーンに頼む。クィーンは船を貸すことに同意するが、失敗した時の覚悟は出来ているなと念を押す。出帆。乗組員はアリス、ベニー、木の番人とイーグレット、ティードルダムとディー、インコ、たいくつネズミ(第三話のネズミと同一人物)、アヒル。クィーンが貸してくれたのは廃船寸前の船。水漏れがして、船は沈みそうになる。木の船が腐りかけていることからひらめいたアリスは舳先に茸を見つける。それを食べるとアリスは巨大化、海に下りて船を持ち上げる。目の前に島がある。それがグリーンランドだと、アリスは船を持って歩いて行く。陸に近づくと、野菜たちが筏で上陸しているのを見る。野菜に声を掛けると蕪が「見慣れない野菜だな、ウドの一種かい?」「あら、なぜ?」「馬鹿みたいに大きいからさ。しかし君は緑色じゃない。何者なんだ?」アリスが人間であると言うと、野菜は逃げる。後を追うアリスたち。野菜は谷に架かった氷の橋を渡って行った。自分は渡れない。誰か行って様子を見てきて貰えないかと言うが、みな尻込みする。ベニーと木の番人が行こうと言う。橋を渡ると、谷の底が緑。ワンダーランド中の緑が谷に集まっているのだ。中から芋虫の煙が立ち上っている。芋虫に訊けば、なぜ緑が集まったか解ると二人は谷底へ下りて行く。芋虫は野菜たちの悩みを聞いていた。そこへベニーと木の番人がやってくる。原因は芋虫にあるらしい。もともと芋虫はウドの悩みを聞いていた。役立たずの代表のように皆が馬鹿にする、と。人間のいない静かなところへ行きたいという言葉に、グリーンランドへ行けば良いとアドバイスしたのだ。ウドは仲間に呼びかけるという。みんな、ワンダーランドでの扱いにうんざりしているのだ、と。そして、緑という緑がみなグリーンランドへ来てしまったのだ。しかし本音では皆元の所へ帰りたがっている。芋虫は力持ちはいないかとベニーと番人に相談する。ベニーは、力持ちかどうか知らないが大女がいると答える。芋虫は、橋の向こうが大きな氷の塊なので、それに緑たちを乗せて運んで貰いたいと言う。ここへ来たものの、木の葉は幹や枝が、野菜は食卓が恋しく、芝生も時には踏まれないと身体がなまってしまうことに気付いたのだ。だが、乗ってきた筏は海に流してしまい、帰れないのだ、と。あとは氷の島に緑たちを運ぶかだが、木の番人が、それは自分に任せろと言い、フルートを取り出す。番人がフルートを吹くと緑たちは橋を渡ってアリスたちの氷の島に戻ってきた。そしてアリスが氷の島をワンダーランドへ押して行く。一方、ワンダーランド、ハートのクィーンが望遠鏡で海を眺めていると、緑の塊が近づいてきている。海の底に氷が引っ掛かり、バランスを崩した島から皆が転げ落ちる、と、元の世界。アリスはバスケットをひっくり返して、小川に野菜を落としていた。スパイスハム夫人はそれを見て、野菜の嫌いなアリスが川へ捨てたのだと思う。アリスは否定し、ベニーを捜すが、ベニーは川辺で人参を食べていた。自分は野菜が大好きだと言うアリス。その言葉に満足したスパイスハム夫人は、野菜を拾って持ったら、美味しい料理を作ると言って家に戻る。 (オリジナル)
26鏡のアリスと鏡 家の大きな姿見の前で自分を映すアリス。自分とセリアのどちらが可愛く、頭が良いかで言い合いになる。お母さんはセリアに「人気があることとか顔の美しさとか、人間の心とは何の関係もないわ。本当の美しさは外見ではなく、内面からにじみ出てくるものですよ」と諭す。「それなら、私の方がずっと美しいわ」とセリアは言って、お母さんと部屋を出て行く。アリスは鏡に向かい「いいえ、それでも私の方がきれいだわ」アリスは、鏡の中で暮らしたらどんなだろうとベニーに言うと、鏡の向こうに白兎が現れた。白兎は去って行くが、アリスはベニーに「鏡がやわらかい積もりで、この中に入ってみましょうよ」と、暖炉に登る。そのままアリスは鏡を抜ける。ベニーもついてくる。そこでは急いでいる白兎が部屋を出たり入ったり。鏡の向こう、もといた世界ではお母さんがアリスを探している。白兎が急いでいるのは、ハートのクィーンが恒例の人気コンテストをするため。白兎は手袋がないと自分が勝てないと、手袋を探しているのだった。手袋はポケットの中。アリスは「でも兎さん、外見だけでは人気者になれないわよ」と言う。そうしている内にコンテストの時間になった。このままでは間に合わない、近道しようと、白兎は部屋を出る。アリスたちも追いかける。白兎は階上へ。白兎の入った部屋に行くとそこには誰もいない。ただ、鏡があるだけだ。鏡をのぞき込むと向こうに白兎がいる。アリスたちも鏡に飛び込む。そこは不思議な空間で、アリスたちは宙に浮いている「これがおじさんの言ってた近道だわ」途中、飛んできた本を手に取ると、白紙で絵も文字もない。「これでも本といえるのかしら。それとも、これから書かれる本なのかしら」途中、白兎にまた会ったが、白兎は家に急いで帰って行くところだと言う。アリスは、どうやってここから出るか考えるが、ベニーが「僕に出来ると思う」と言う。そして浮かんでいる鏡台を指し「近道だよアリス。鏡の中を通るんだ」。二人は鏡を抜ける。「ここはハートの女王の王宮ではないよね、ベニー」。部屋の向こうで鳴き声が。「泣いてるのは赤ん坊かしら」ドアを開けると豚が飛び込んできた。その後に鍋が飛んでくる。逃げるアリス。公爵夫人と料理人が追いかけてくる。鏡に入ろうとするが、その鏡は鍋で割れてしまう。豚、公爵夫人、料理人に追い詰められたアリス。ベニーは「アリスの七年目の悪夢が、たった今始まった」と、ドアにノックが。入って来たのはカエルの下男。「女王さまからの伝言」年に一度の、恒例の人気コンテストへの招待だった。勝者は「美しさと、個性と、上品さと女王への献身と慈善への貢献で判断」するとのこと。公爵夫人は出席すると伝える。必ずそのコンテストで優勝する、と。アリスは「ブスと暴力のコンテストなら優勝できるかもね」。アリスとベニーは、鍋の底が鏡のようになっているのを使い、そこから逃げ出す。再び通路の空間。鏡が飛んでくる。それを抜けると帽子屋たちのお茶会だった。帽子屋はアリスたちを指して「あのチャーミングなアリスと素敵なベニーです」と言う。アリスは「お世辞に騙されちゃ駄目」とベニーに言うが、帽子屋はアリスたちをお茶会に誘う。帽子屋たちはえらく態度が優しい。三月兎がお茶を淹れるが、中には眠りネズミが。帽子屋はクッキーを勧める。しかしクッキーはない。「もし持っていましたら、必ずお分けしましたのに」と三月兎。帽子屋「それが私たちのやり方です。思慮深く、寛大で」。ベニーが飛び出し「嘘つきで!」アリスが「ベニー、自分のマナーに気をつけなさい」「マナーに気をつけるのは、彼らだよ、アリス。彼らは明らかに丁重な風を装っているけど、多分そうすれば女王の人気コンテストで勝てると思っているんだよ」三月兎がベニーにお茶をかける。「なんでもよく判るんだね、ベニー」アリスは、「ベニーは表面的な行動だけで、人が人気者になれないとよく知っているわ。私の母は、美が内面から来ると言ったわ」ベニー「たとえ外面がびしょびしょでもね」お茶会から去ろうとするアリスに、帽子屋が「さて、第一に誰があなたを招待した?」三月兎「第二に」帽子屋「君がしたのはお茶を飲んだことだけだ」、三月兎「そして、僕たちのクッキーを食べた」アリス「クッキーなんか持ってなかったじゃない」帽子屋「はぐらかすな!」怒ったアリスは鏡に飛び込む。鏡に向かって帽子屋は「このちび! お前なんかどんな人気コンテストでも勝てっこないぞ」と叫ぶ。再びアリスは通路の空間へ。アリスは「残念だけど帽子屋は正しいかもね。もっともハートの女王の王宮に着ければのことだけどね」。チェスの女王が鏡台の前にいると、鏡にアリスが映る。驚く女王。アリス「お城を間違えてしまいました」。ハートのクィーンの所へ行くのに近道していたところだとアリスは説明する。「ああ。あなたは多分コンテストに行くのね。彼女は最も人気のあるクローケープレイヤーを選ぼうとしているのよ」アリス「それが正しいとは思えませんけど」女王「もちろん正しいことではないわ。他のコンテスト出場者にはフェアではありませんからね。私が勝ってしまうでしょう」クローケーの玉を打とうとしている女王にアリスは「女王さま、コンテストでお会いしましょう」と言って鏡台を締めて通路に戻る。女王「最近の若い子たちって、いつも急いでるのね」ここはハートのクィーンの王宮。鏡を見ていたクィーンは逃げだそうとしているキングとジョーカーを見咎める。自分たちはコンテストで勝つチャンスがないから逃げ出そうと思っているというキングをクィーンは止める。クィーンは二人に審査員を命じる。部屋を出ようとするキングに、クィーンはジャックを呼んでくるよう言う。「なんだかジャックが人気コンテストで勝つチャンスが多分にあるような気がするのよ」驚くキングとジョーカーは部屋を出て行く。と、鏡からアリスとベニーが飛び出した。白兎の後から来たのだと説明するアリス。クィーンは、「彼がセレモニーの司会をするのを忘れるところだったわ。どうせいつものように遅刻するでしょうけど」そう言っている間に白兎が鏡から飛び出す。コンテスト開始。アリスも審査員席に座ることに。最初の出場者はリトル・ビル。次は帽子屋に眠りネズミに三月兎。クィーン「まともなものが一人もいないではないか」アリス「同意するしかないわ」。次はまがい亀。そしてハンプティ・ダンプティ。次に公爵夫人。その仔豚。公爵夫人の料理女(審査員席がくしゃみ)、ティードルディーとティードルダム。セイウチ。退屈したクィーンは「ジャックはどこ? かれを勝者と宣言するわ。それから、みんなで昼食会だわ」そこへチェスの王と女王が出てきた。キングが言うには「ジャックは北の塔に閉じこもっている。コンテストに出場する資格がないと思ってるんだ」。次の出場はイーグレット。キング「ジャックは劣等感に悩んでいるんだ」ジョーカー「もちろん、劣っているからですけど」クィーン「それは、わたくしが判断することです」アリスは「コンテストに参加すれば、ジャックは地震が持てるようになるかもしれないし、自己評価を高めさせるかもしれないわ。たとえ勝たなくてもね」そう言ってベニーと一緒にジャックの所へ行く。女王「心配しないように言ってね。彼はワンダーランドで最も人気のある人物だと宣伝されるでしょう。たとえわたくしが、他の者みんなの首を刎ねなくてはならなくてもね」。次の出場者はジャバウォーキー。北の塔を登るアリス。ジャックに女王が彼に出場して貰いたがってると伝える。「でも、みんな僕のこと嫌ってる。人気コンテストに勝てるわけないだろ。自信が全くない。勝てないって判ってるんだ。そして僕は哀れな敗北者だよ」アリスは「やってみなければ判らないわ。全く人気がないわけではないと判って、驚くかもしれないわ」ジャックを引っ張り出し「あなたは、もっと積極的に考えなくてはいけない。何か報われるでしょ、たとえ勝たなくても」そしてジャックは出場。「僕がどうしてここにいるのか判らない。僕は鈍くって」アリス「リトル・ビルほど鈍くはないわよ」「人を憂鬱にさせるし」アリス「まがい亀ほどじゃないわ」「その通り。でも僕はこそこそこっそり立ち回るし」アリス「ティードルディーとダムのほうが二倍もこそこそしているわ」「ああ、その通りだ。それに僕はハンサムじゃない。でも、ジャバウォーキーほど醜くない。僕はパーティの花形じゃないけど、三月兎ほどつまらない奴でもないし帽子屋ほどおかしくもない」アリス「どう? だんだん自信が出てきたでしょ?」ジャック「黙って、このせわしないちびめ」ムッとするアリス。ジャックは「さあ、そう考えてくると僕は、ワンダーランドの中で最も人気のある人物である!」呆れるクィーン。「ねえ、僕の賞品はどこ?」賞品が欲しいとだだをこねるジャック。怒って泣くクィーン。アリスは城からの逃げ出す道を探す。大きな鏡が壁にあった。クィーンは「すべてのコンテスト参加者を失格させる!」と言う。「わたくしは自分自身を人気コンテストの優勝者と宣言する」ジャックがフェアじゃないと駄々をこねる。と、アリスは家の鏡台に向かっていた。セリアが「ねえ、どいてったら」とアリスに言っている。お母さんが二人を止める。「鏡を見たからといって急にどうなるものでもないわ。いい加減になさい。さ、お茶を頂きましょう。自分の顔に見とれて花になった、ナルシスの話をしてあげましょうね」アリスとセリアはお母さんに連れられて部屋を出て行く。振り返って鏡を見るアリス。そこではワンダーランドの人たちがアリスを見送っていた。
(これ以降、全52話で放映されたイタリア語版の26話にはなし。イタリア語版はアリスの家を上から見たショットで終わる)
ワンダーランド、アリスと住人たちが踊っている。
そして再び鏡。住人たちが手を振って、フェード・アウト。

アリスが登場
「はーい、わたしのこのシリーズ、ひとまず終わるの。ね、ベニー」
ベニー「うん、そうみたい」
白兎「不可思議」
ハートのクィーンの「嘘だ!」
ハンプティ・ダンプティ「ああ、信じられん」

そして、アリスの家族とワンダーランドの住人が集合して、アリス「でもまた会えるわ、きっと。あなたのワンダーランドでね」
一同「バーイ!」
鏡1「鏡の家」

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