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以下に試訳を掲載する(より「まとも」な訳は高山宏訳、J. フィッシャー『キャロル大魔法館』(河出書房新社)に収録されている)。

この問題が貴紙のコラムで議論になっているのを見て(この問題は、何年か前私の頭にも浮かんだのだが、満足できる答えが見つからなかったのだ)、私は投稿者たちにこの問題で本当に難しいのは何か是非とも気付いて貰いたいと思っている。「T. J. バックトン(リッチフィールド)」の主張は、いつも、地球上のどこかの地点では一日が始まっているということから、もし24時間で地球を一周でき、どの場所でも、その土地ではちょうど真夜中の時点に着くことが出来るなら、どこへ行っても日付の変わる状態に立ち会えるというものだ。しかし真夜中を正午と置き換えてみれば、すぐに難しい問題に突き当たる。この事例は簡単に云えばこうなる。ロンドンを火曜日の正午に出発し、太陽と一緒に動くと考えてみよう。そうすると水曜日の正午に再びロンドンに着くことになる。もし毎時間の終わりに、自分の着いた土地のイギリス人にその日の曜日を訊くとするなら、ついにはどこか水曜日と曜日が変わる場所に着くことになる。ところがその時、一時間前に通った土地では火曜日(午後1時)なのだ。こうしてお互い時差が1時間以内でいながら、同じ日に別の曜日を使う二つの土地が見つかる。しかもそれは、そういうことが当たり前である真夜中ではなく、一つの土地では正午、もう一つの土地では午後1時という時なのだ。こういう二つの土地が存在するかどうか、もし存在したとしてこの二つの土地の間でのコミュニケーションに全く混乱が生じないのか何とも云えない。しかしこの難問に対して筋道立った解決があるなら、どんなものでも歓迎するだろう。――オクスフォードの数学教師