Lewis Carroll: Q&A Board
[記事リスト] [新着記事] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

タイトル Re^4: 『不思議の国』テクストの異同について
投稿日: 2003/12/30(Tue) 10:18
投稿者書生 < >

グリーン版が原典に忠実に見えるひとつの要因として、各章の章題と、章の最初の語を大文字で書く、ということがありますね。
つまり第1章なら、DOWN THE RABBIT-HOLEというタイトルを少し小さめの活字で打って、
ALICE was beginning to get very tired ……と続ける。
で、このときに最初の一文字(A)だけふつうの大文字で打って、続く文字(LICE)はポイントを小さくして打つ、というあたりも、原典をマネてるわけでしょう(こういうのをドロップキャップじゃなくて、なんと言うんだったかな? 詳しくご存じの方があれば、木下さんに限らず、教えていただきたいんですが…)。
こういう面は、言葉の意味に関係しないので、どうでもいいと思えばどうでもいいわけですが、文章のデザインというかタイポグラフィ的なものに関心を持つ人にとっては重要でしょう。
で、ちょっと気になって木下さんにお訊きしたいのは、
『不思議の国』の巻頭詩は、グリーン版では、
All in the golden afternoon なのですが、
市販のテクストではALL in the ……と始まるものが、けっこうありますね。グリーン版でも『鏡の国』だと巻頭の詩も巻末の詩も、そういう始まり方をしているし、もっと言えばキャロルの詩はたいてい本来そういう書き方をされてるでしょう。
これは『不思議の国』の巻頭詩だけが、例外と見ていいんでしょうか?(キャロルがこの詩に関してだけ、そういう表記をするように指示し忘れたのか、意図的なものかは、ちょっと解りそうにもありませんが、グリーンの誤りということではないだろうと思うんですね、予測として。)

to-day,to-morrowの問題に関連することで補足しておくと、to-nightという表記もあります。第1章、アリスが落下中に、
“Dinah'll miss me very much to-night, I should think!” (Dinah was the cat.)
「ダイナは今夜、すごく寂しがるだろう」と言う箇所。これはガードナー版でも to-nightとハイフンが入っている。どうして to-nightだけハイフンを入れて、today、tomorrowはふつうの表記に直したのか、意図がよく解らない(もちろん古典的にはmorrowだけで一語として成立しますから、キャロルの to-morrowという表記には一応の“理”があるわけで)。
あるいはガードナー版は、複数の人間が分担して校訂したのかな? という気もします〔ガードナー版にはtodayとto-day、両様の表記があります〕。
これに対してグリーンは、キャロルの日記とかも編纂した人だけに、そうとうのこだわりをもって一人で校訂したんじゃないか?
あくまで憶測ですが、テクストから受ける印象は、そんな感じですね。ただ、そういう編集方法だと、思わぬポカとかやってしまいかねないわけで、
4章白ウサギがアリスを「メアリーアン! メアリーアン!」と呼んで階段を昇ってくるシーン、
Then same a little pattering of feet on the stairs.
この sameがcameの誤りだということは一目瞭然なので、あえて指摘するまでもないんですが、こういう間違いが残ってしまう。
こう考えるとNo.39で紹介したwinter-dayのあとがピリオドになっているというのも単純なタイプミスなんでしょうね。
タイプミス自体はグリーン本人の責任ではないかも知れないけれども、なんかグリーンの場合、ゲラの校正とかも一人でやってそうな気がするし(笑)
ガードナー版だと、こういうふつうの意味での綴り間違いはなさそうです。

それと、グリーン版ペーパーバック巻末のTEXTUAL NOTESにある異同表、というのも、もうちょっと網羅して欲しかったな、みたいなうらみはありますね。


- 関連一覧ツリー (▼ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ
Eメール
タイトル
メッセージ   手動改行 強制改行 図表モード
参照先
暗証キー (英数字で8文字以内)
  プレビュー

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 暗証キー